中日新聞社は、中日新聞、中日スポーツ、東京新聞、北陸中日新聞、日刊県民福井などの発行元である大手新聞社だ。東海3県(愛知、岐阜、三重)を中心に、静岡、北陸(石川、富山)、長野、福井、滋賀、東京をカバーし、それぞれ地域に根ざした新聞を発行している。
多数のウェブメディアを通じてニュースを配信しており、特に電子版「中日新聞Web」や定期購読者向け「中日プラス」では、膨大な数の読者へメールマガジンを配信している。
そんな同社では、従来より利用していた配信システムの終了に伴い、メール配信システムのリプレイスが必要となった。そこで新たに採用されたのが「Cuenote FC」だった。導入に至った背景やその成果について、同社 電子メディア局 ウェブ運営部 澁谷 輝氏と同部の川原 大輔氏にお話を伺った。
澁谷 中日プラス会員向けに速報性の高い重要ニュースを告知する「ニュース特別便」を記事公開に合わせて配信しています。また、週間まとめ「中日プラスウィークリー」や、プレミアム会員に向けた「プレミアムメルマガ」を週に1回配信し、アンケートメール「中日ボイス」、PRメール「インフォメーションメール」を適宜配信しています。さらに経済特化の有料ウェブメディア「中日BIZナビ」についても朝刊メールを配信しています。
川原 はい。1回の配信で約数十万通を送っています。また、重大ニュースが多ければその都度送信する特別便メールも増えるので、配信数の多い月には月間1,000万通近くまで増加することもあります。各メールの配信自体は、基本的に各媒体のウェブチームが担っています。
澁谷 報道機関として配信するメールなので、即時性と到達率が高いことが重要です。さらに、セキュリティが強固な点も重視しています。
川原 先ほども触れましたが、重大ニュースの多発によりメール配信数が増加するので、利用するメール配信システムが定額制であることは必須要件です。それから、2024年に改められたGmailの送信者ガイドライン(※1)に対応しているシステムであることも選定基準としてありました。
※1 Gmail 送信者ガイドライン:1日あたり 5,000 件以上のメールを送る送信者に対して、「SPF/DKIM/DMARC などのメール認証の設定」や「マーケティングメールのワンクリック解除対応」、「迷惑メール率を 0.3% 未満に維持する」などを求めるガイドライン
澁谷 十数年前にメールマガジンの配信を開始した時点に導入したシステムを利用してきましたが、メールの到達率が確認できないことや、HTMLメールを作成する際のエディタなどのツールが使いにくいことなどがありました。
川原 もともと、中日新聞の東京本社で「Cuenote」を利用していたことを把握していました。そこで、ユミルリンクの営業担当から話を聞いたところ、当社の配信規模であっても定額で利用できるプランがあることを知り、導入を検討しました。
澁谷 定額制である点に加え、到達率が高い点、送信状況の詳細な確認ができる点についても安心感が大きく、採用に至りました。他サービスとも比較したのですが、そちらは送信通数に応じた従量課金制で予算の見通しが立てにくいという課題がありました。
澁谷 2024年夏頃に導入を決定し、同年11月頃から3~4カ月の移行期間を経て2025年2月に本格稼働しました。移行期間はAPIの開発を行うとともに、媒体ごとに段階的に移行を実施しました。
川原 APIでは、会員情報管理システムからメールアドレスを取得する、CuenoteFC側でエラーカウントを行った結果を連携する、そして記事掲載のCMSと連携してメルマガ送信をする等の機能を利用しています。また移行期間中、1カ月ほど「IPウォームアップ」を実行しました。これはユミルリンクの担当者から勧められたもので、移行期間中に大量のメルマガを配信することでIPレピュテーション(※2)を高めました。このアドバイスに従ったことで、システムが切り替わっても迷惑メール扱いされることはなかったようです。
※2 IP レピュテーション:メール送信に使用する IP アドレスが、受信側サービスからどの程度「信頼できる送信元」と評価されているかを示す指標。
澁谷 先程のIPウォームアップの件もそうですが、担当者と相談しながら一緒に運用準備を進めることができ、当社の状況に寄り添った提案だと感じました。またAPIなどの各種資料もわかりやすく、導入・運用開始時には大きな問題はありませんでした。
川原 基本的に運用体制に大きな変化はありませんが、従来のシステムではHTMLメールを作成する際に記事担当者とは別のHTML作成担当者からファイルを受け取り、コピー&ペーストの作業が必要だったため工数がかかっており、ミスのリスクもありました。
しかしCuenote FC導入後は「HTMLエディター」を利用して簡単にHTMLメールを作成できるようになりました。
澁谷 メールの配信状況とクリック率等が可視化されたことは、今後の運用を鑑みても良い効果だったと思います。これまではメール本文内のURLクリック計測が煩雑だったのですが、CuenoteFCではURL単位で簡単に確認できます。
また、メールを配信した曜日ごとのクリック率などを分析できるようになり、次のアクションに向けたメール戦略を立てやすくなったのも大きなメリットです。
川原 報道機関として大量のメールを配信することが多いので、確実に届ける、届けたあとの分析結果が得られていることは重要だと捉えています。
澁谷 ワークエリア機能(複数部門管理機能)を使用し、各媒体、部門別にグループ分けし、他媒体にメルマガを誤送信するのを防ぐ運用を実現しています。
また、中日BIZナビでシナリオ配信を活用していて、登録したユーザーにウェルカムメールを自動的に配信する施策を行っています。従来は手動で対象者を抽出して配信していたため、担当者の負担が大きく、送信ミスのリスクもありましたが、シナリオ配信によって自動化され、運用が大幅に楽になりました。
澁谷 構想段階ではありますが、Cuenote FCの定額制という特性を活かして、「今日のニュース」「今週のニュースまとめ」など、ニュースをサマリした内容のメールを配信したいなと考えています。またニュースレターを配信し、ユーザーとの結びつきを強化するとともに、メールから流入するユーザーの滞在時間の長さを活かすような新サービスを検討しています。
川原 今後「中日プラス」でもウェルカムメールの施策を実施する予定です。また、たとえば最終ログインから1カ月間経過したユーザーに向けてメールを送信することで離脱を防ぎたいと考えています。ABテスト機能も、デザインに迷った際に主観で決めるのではなく、両パターンを配信して結果で判断するという使い方で活用の幅が広がりそうです。