1973年に毎日新聞社を母体として発足し2023年に創業50周年を迎えた、毎日企画サービス。多くの事業を展開する同社だが、その軸となる旅行部が最も力を入れているのが「まいたびⓇ」として展開する、国内外の登山ツアー、ネイチャーツアーだ。
登山に関わるあらゆるリスクを軽減するため、有資格者が独自の登山レベルを設定したり、登山口直通の「毎日あるぺん号」を運用したりと、安全に楽しく登山を楽しめるサービスを提供している。
同社が会員向けのメルマガシステムとして活用しているのが、Cuenote FC。メルマガの購読者は40代~60代以上が多い中、メルマガは顧客との重要なコミュニケーション手法になっているという。今回は主に販促を担当するアクティベーションデザインチーム、およびシステム関連業務を担うデジタルソリューションチームのメンバーに話を伺った。
従来は書面の郵送のみでおこなっていた会員様とのコミュニケーションは、時代の流れとともにメルマガに置き換わっていきました。お伝えする情報は、登山ツアーに参加される方へのツアー情報の催行状況(受付中、キャンセル待ち、残席数など)などが中心です。
おかげさまで事業規模、顧客数も徐々に増加し、メルマガ配信も軌道に乗り始めましたが、当時利用していたインストール型のメール配信ツールではさまざまな点で不都合が出てきました。
最も大きかった課題は、配信数が増加する毎に配信スピードが落ちていくことでした。遅いと深夜や翌日にも届いてしまうことがあり、残席が埋まらないなどの事象もありました。旬な情報をタイムリーに届けられないのはメルマガとして死活問題です。課題解決のため、まずWeb検索で代替ツールを探し、Cuenote FCともう1社で比較検討をしました。
決め手となった要因の一つは、配信数に制限がなく、定額制であること。会員様へ有益な情報をお届けするのに、コストを気にしてメルマガの回数を抑えたくありません。もう一つは、当社はPマークを取得しているため、セキュリティが担保されたサービスを選定する必要がありました。Cuenote FCにはセキュリティキーを用いた2要素認証があったため、自社に適したサービスだと考えました。
導入が決定したのが、2019年の12月頃。奇しくも、コロナ禍が始まる直前でした。
コロナ禍はわれわれの生活に大きな影響をもたらしましたが、旅行業界も同様です。多くのツアーは実施できなくなり、出口の見えない日々が続きました。
それでも私たちができること、やるべきことについて真剣に議論を重ねる中、とある社員の「旅行に行けないお客様に喜んでいただけるなら、何でもやってみよう」という声から始まったのが、HTMLメルマガの配信です。それまでテキストのみでしたが、Cuenote FCの導入を契機に挑戦することとしました。加えて、メルマガと応募フォームを組み合わせたプレゼント企画、カレンダーやTシャツなどを販売する「まいたび商店」の紹介、登山ができない方々に現在の山々を楽しんでもらう、YouTubeの「まいたびチャンネル」のご案内など、とにかくできることから始めました。
HTMLメールとテキストメールを併用し、それぞれの役割を分けている点です。
当社は数ヶ月単位で旅行商品を企画・運用していますが、リピーターであるロイヤルカスタマーの会員様には、紙のパンフレットを郵送しています。しかし、それらは旅行業法に基づいて厳しい制限があります。具体的には二重価格等で、一度記載した価格の値引きや値上げなどができません。
一方メルマガでは、新商品の告知もパンフレットほどコストがかからず、スピーディに、かつ柔軟性をもって情報展開できるという大きなメリットがあります。
現在、HTMLメールとテキストメールを併用していますが、HTMLメールは主に登山ツアーの紹介、YouTubeチャンネルの更新通知、オリジナルTシャツやイベントの告知、その他プレゼントの告知です。一方テキストメールは、上記に加え登山口に直行するバス「毎日あるぺん号」やその他国内旅行など、全商品を対象としています。文字数は4000~5000文字程度と一般的なメルマガと比較してもかなりボリュームがありますが、コンテンツとしてはかなり濃い内容になっているため、コアファンの方には読んでいただけているのではないかと考えています。
開封率は平均して30%程度の高水準となるため、会員様のお役に立てているのではと感じています。
毎月、購読者数と開封率を確認しています。購読者数は前月より増加していること、開封率は30%を切らないことを指標としています。タイトルに必ず絵文字を入れる、プリヘッダーテキスト(本文を抜粋したもの)を何度も推敲するなど、読者にとって魅力的な情報提供に力を注いでいます。
コロナ禍で始まったHTMLメールは、「会員様に喜んでいただきたい」という思いが起点でした。当初は「週2回も送っては、登録解除する人が増えるのでは」という社内の声もありましたが、「配信回数と解除率は比例しない」と仮説を立て、細心の注意を払って運用してきました。やがて「いつも楽しい情報をありがとうございます」といったお声が多く聞けるようになったことは、私たちの力になりました。
機能面では、テストメール配信機能は必ず利用しています。会員様の手元に実際どのように届くのかを事前にチェックできるため、メルマガの満足度を上げるためにも欠かせない機能だと考えています。
また、迷惑メール率を抑えることに成功しています。直近の計測では、1か月の平均でも0.0%となっていました。直近ではGmailのガイドライン変更もありましたが、技術的な設定を行う際は、Cuenoteのサポート部門の方に詳細な手引きを逐次ご教示いただき、問題なく実施することができて大変助かりました。
配信時間が大幅に短縮されたことも大きな効果です。以前のツールでは配信完了まで4時間程度を要していました。現在は2倍以上の配信数にも関わらず、概ね30分以内で完了しています。会員様にタイムリーに情報を届けるためにも、スピード感はとても重要だと認識しています。
まず、メルマガはわれわれからの一方通行な情報発信だけでなく、お客様にとってもそれを見る時間は有意義なものであるべきだと考えています。そのように感じていただけるお客様を増やすべく、メルマガの登録者数を2倍にしたいという目標を掲げています。それに伴ってメルマガ経由の売上を伸ばすことも重要ですが、楽しんで読めるメルマガを送り続けることも同じくらい重要だと捉えています。
体調や体力など、山に登るお客様の状況は毎年変化します。そうした方々が、時間を共有する相手として当社をお選びいただくことの意味は大きく、安全性や満足度は一般的な旅行ツアーより高水準であるべきと考えます。
「年齢を重ねて登山できなくなったが、まいたびメルマガで当時を思い返して嬉しく思いました」「いつかあの山に挑戦したいので、今年はこの山に登ります」といったお客様の声は、われわれの活力です。これからも、文字、画像、動画など時代に即した手段を用いて、お客様一人一人の素晴らしい人生のひとときに関わり続けたいと思います。