1992年、インターネット黎明期と呼ばれる時代に設立されて以来、「Impress Watch」をはじめとした数々のWebメディアサービス事業、出版事業、電子出版事業を運営する株式会社インプレス。
コンシューマ向けのImpress Watchシリーズや、BtoB向けのリードジェネレーションサービスなど、専門性が高いメディアやサービスを揃え、その専門性を活かした、様々なサービスを展開。そのような事業を展開する中で、数十に及ぶ媒体を保有する同社が、BtoB向けメディアのメールマガジン配信として利用しているのがCuenote FCだ。
当初は別のサービスを利用していた同社だったが、さまざまな理由からCuenote FCへのリプレイスを決定。スモールスタートから始まり全体刷新にまで至った経緯を、法人営業局 LGマーケティング部 部長 山本氏、同じくLGマーケティング部 岸氏、五十嵐氏、デジタルマーケティング室 大来氏に伺った。
当社では、BtoB向けメディアの会員様のメールアドレスが60万件を超えております。時代の移り変わりにより、取引先企業に対してリード情報を提供するビジネスモデル、いわゆる“リードビジネス”と呼ばれるスタイルが確立されていきました。本事業においてメール配信は不可欠であり、ビジネスの核となる重要なシステムだと認識しています。
そうした状況の中、それまで利用していたメール配信サービスから「2024年にサポートを終了する」という旨の案内がありました。前述の通り、当社ビジネスの根幹に関わるツールについてサポートのないサービスを継続して利用することは難しいだろうと判断し、リプレイスの検討を始めました。
また、以前のサービスには課題も感じていました。例えば、詳細な分析に必要な生ログへのアクセスが難しい点や、ストレージ上の制約により保存期間が1年間に限られており、長期的な分析ができないことなどが挙げられます。
作業効率の面では、メルマガ作成の度にデータベースのシステムから配信リストをダウンロードし、それをメール配信システムにアップロードする手順も負担に感じていました。これは手間がかかるだけでなく、セキュリティ面でも懸案事項になっていました。
他にもマーケティングの観点では、データ分析などに必要なAPI連携が困難であったり、セグメントを絞る機能がなく配信作業に時間がかかってしまったり、ABテストを手動で行う必要があったりなど、改めて整理すると多くの課題があることに気づきました。
このような課題を踏まえ、リプレイスに必要な要件定義を始め、絶対に譲れない3つの条件を定めることにしました。
一つ目は、「配信先のうち、“メールに含まれているURLをクリックしたことのある人を除外”する機能」があることです。当社では日常的にさまざまなメール配信を行っておりますが、特にイベント告知などの際は、過去にURLをクリックした人に何度も同じメールを送ってしまうと、すでに案内済のメールが何度も届くことになり、不信感を抱くことやメルマガの退会に繋がりかねません。
二つ目は、「ABテスト機能」があることです。メールの件名や内容に関して、読者の反応を見てPDCAサイクルを回してゆくことは非常に重要ですが、それまでは手動でしかできませんでした。そのため、ABテストが手軽に実現できるシステムが必要であると考えていました。
最後の三つ目は、「API連携」ができることです。他のシステムと連携したり、配信ログを自動的に取得したりといった要求には、API連携が必須でした。
以上の3つの条件を満たしていることを前提に、リプレイス先の選定を開始しました。
上記のような課題があったことから、メール配信システムのリプレイス自体は2〜3年前にすでに検討が開始されていました。それから何度か社内でも話題に上ったのですが、われわれの運用している配信規模が大きいこともあり、なかなか進みませんでした。しかし今回は既存システムのサポートが終了するという明確な期限が設定されたため、一気に進展したように思います。
必須とした3つの条件、およびその他重要と考えられる機能を資料にまとめ、メンバーと協力して調査を進めました。資料請求を行ったサービスは8つ、デモを利用した後面談に至ったのは4社、最終候補となったのは3社でした。その中からCuenote FCに決めた理由は、高速・大量配信ができるにも関わらず、月額費用が最も安かった点です。
また、今回採用したプランにはメール配信数に制限がないことも大きな決め手でした。他社様には、一定数以上で従量課金が発生するものもありました。従量課金制度は、会員様の増加に応じて費用も増えていくため、事業のバランスを取るのが難しくなります。その心配がなく、とにかく最良なコンテンツを探りながらファンを増やすことに集中できることは、われわれにとって意義深いことです。
また、サポート体制が整っている点も魅力でした。問い合わせはメール&チャットのみというサービスもある中、電話対応はもちろん、営業のご担当者に直接連絡しても迅速に対応していただけました。
作業開始にあたり初期設定が必要でしたが、いくつかあった不明点もサポートの方のおかげで難なく進めました。
メール配信は、およそ10程度のメディアで活用していますが、定期的な配信のみで月間190万通程度、1日あたり15本から20本ほどのメールを送っています。その中で、Cuenote FC導入によって実現したAPI連携によってセグメント配信が柔軟に行えるようになったことは、大きなメリットでした。メール配信業務にあたる際の心理的なハードルも下がりましたし、配信にかかる時間や工数が3割程度は短縮されたと感じます。
また今回のメール配信システムのリプレイスは、一気にすべて行うのではなく、まずひとつの媒体から始めるいわゆるスモールスタートの形を取りました。3〜4カ月ほど1つの媒体で試し、問題なく運用できることが確認できたため、全面的な移行を完了しました。会員数やメールの種類も多い企業様には、このスモールスタートはぜひおすすめしたいです。
われわれの都合で恐縮ですが、配信レポートがカスタマイズできるようになると良いです。広告案件などはお客様に配信結果をレポートしているのですが、現在は自分たちのフォーマットで行っているため、Cuenote FC内で完結できるととても便利になります。
また、配信されたメールの一覧をリアルタイムで表示できる機能があるとお客様へ速報値としてすぐに配信結果をお伝えする事が出来ますし、間違いなく配信されたかを一画面でチェックできるので助かります。
当社グループが掲げる「面白いことを創造し、知恵と感動を共有する」という理念の通り、われわれは、ただ役に立つだけではなく面白みのある情報を提供していく責務があります。そのためにはコンテンツの内容はもちろん、それを配信するタイミングというものが非常に重要であると考えています。ベストな配信タイミングは、受け手やコンテンツの内容によっても異なります。今後も高速・大量配信を強みに持つCuenoteFCを活用し、チーム一丸となって会員様のニーズをしっかりと把握したうえで適切なメッセージを届けられる媒体でありたいです。