株式会社KADOKAWAは、総合エンターテインメント企業として、出版、映像、ゲーム、Webサービス、教育、MD、インバウンド関連など幅広い事業を展開。近年では、デジタルトランスフォーメーションの推進により、IP(Intellectual Property)の安定的創出と世界への伸展を中核とした「グローバル・メディアミックス」戦略を実践している。 同社が会員とのコミュニケーションに活用しているのが、Cuenote FCだ。
今回は、事業部門のサポート業務や全社的なデータマーケティング戦略の策定に従事する、デジタル戦略局の山野井氏、牧野氏に話を伺った。
当社では、アニメやコミックス、文芸、ライトノベルなど、さまざまなコンテンツ・サービスを展開しており、会員様とのコミュニケーション手段の一つとしてメールマガジンも活用しています。
KADOKAWAは、2013年10月に当時の連結子会社9社と合併しました。そのため、元々の会社ごとに顧客データの取得方法や利用しているツール、メールマガジンの活用方法などが異なってるという事情がありました。 社内で複数のツールが混在している状態では、サポート体制や各種ルール設定、ガバナンスなども複雑化してしまいます。全社的なマーケティングの効率化を念頭に事業部門をサポートする立場にあるわれわれが、新たな方法・ツールを模索する必要がありました。
加えて、一部の事業部では顧客管理システム(以下、CRM)のオプション機能を使ってメールマガジンの配信を行っているという状況もありました。機能としては存在するもののツールの本来用途ではないため、他のデータベースから顧客データをインポートしてメールを配信するといった基本的な作業においても、手順が煩雑・UIが分かりにくいなどの難点があり、事業部の現場担当者も辟易していました。
私たちとしても、情報管理面でその煩雑さと複雑な作業工程が、個人情報を扱う際に万が一の事故が発生するリスクに繋がると考えておりました。 それらの課題をまとめて解消するため、より適切なメール配信ツールを導入するプロジェクトが立ち上がったというのが、今回の導入の背景になります。
最初に10サービスほどの候補にあたりをつけ、それぞれの機能や特徴を比較した上でニーズに合う4つに絞り、各社の営業担当者様へヒアリングしたり、実際に試用したりを繰り返しました。 選択の決め手となったポイントは一つではなく、複数ありました。
まず、部署ごとにシステム内で領域を分けてメール配信作業・個人情報管理ができることが大きなポイントでした。複数の会社、部署が合併してできた当社にとっては、必須要件であると言えるかもしれません。その点、Cuenote FCには「ワークエリア(作業領域)」という機能がありました。メールマガジンの運用を部署や組織ごとにグループ分けでき、それぞれのユーザーグループが使用するワークエリアを設定可能です。各ユーザーグループの配信リストや効果測定はそれぞれの領域に記録され、他のグループからの閲覧や利用はできないため、個人情報の管理も安心できそうでした。
もちろん、分けるだけではなく連携が必要な場面も予想されます。各部署のデータベースからメールアドレスを自動で連携したい場面で、それをサポートしてくれるAPIがあるのか否かも重要なポイントでした。 それらがクリアされている前提で、「使いやすさ」も重視したポイントでした。KADOKAWAの場合は複数の現場の編集担当者が利用する想定だったので、こうしたツールに馴染みがない人でも使いやすいものが一番だと考えていました。Cuenote FCは管理画面やメール作成画面、作成中のメールのステータスが非常に見やすく、ミスが起こりにくいと感じました。 最後に、価格面も決め手となりました。CuenoteFCであれば、要件を満たしつつ導入コスト、ランニングコストを最小限に近づけることができました。
最終的に2社まで絞り込み、すべてを総合してCuenote FCを選択いたしました。
正直に申し上げると、最後まで残った2サービスは甲乙つけがたいものがありました。価格以外に決め手となったのは、Cuenote FCのシンプルで優れたUIだと思います。「マーケ系ツールに慣れた我々ではなく、複数部署の現場社員が利用する」という前提に立てば、利用頻度が少ない人やツールが苦手な人にとって、Cuenote FCの方が適していると感じました。UIや使い勝手が分かりやすければ、万が一何か問題が発生した場合のやりとりなど、社内でサポートする側のわれわれもやりやすくなると予想されます。
またシステム面から見ても、Cuenote FCはしっかりと作られている印象を受けました。保守・運用する技術者の立場からすると、その安心感は大きなものでした。
メルマガ配信にかかる工数と管理の手間の削減を目指していました。 Cuenote FCを導入する際に、現場担当者にメール配信までの一連の流れを実際に試してもらったのですが、多少の質問はあったものの、すべての作業を自分たちで完結できていました。テスト配信や本番配信に関しても、現場の担当者たちで試しながら確認し、それぞれのワークフローが出来上がっていった印象でした。
以前使っていたツールは手順がとても煩雑で、少しでも間違えると1からやり直す必要があるなど、現場としてはかなりストレスだったようです。Cuenote FCの導入により、そうしたストレスが軽減され、われわれのサポート工数も減り、お互い時間を有効活用できるようになったと思います。やれることはまだ残っているとは思いますが、最初の目標は無事達成できたと思います。
B to Cの会社であるKADOKAWAにとって、会員様一人ひとりに直接アプローチすることは今後ますます重要になってくると考えます。さらに現在は、オフラインのイベントが減少しています。TwitterやLINEなどのSNSも活用していますが、費用をかけずにプロモーションが行える「メールマガジン」という手段を持っていることは、選択肢を増やす面でも重要だと考えています。