1. ネット選挙解禁から6年、Webサイトやメール、SNS等候補者と有権者の「ネット活用」はどう進んだか

ネット選挙解禁から6年、Webサイトやメール、SNS等候補者と有権者の「ネット活用」はどう進んだか

公開日:2019/07/10
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ネット選挙解禁から6年、Webサイトやメール、SNS等候補者と有権者の「ネット活用」はどう進んだか


 第25回参議院議員通常選挙(2019年7月21日投開票)が公示され、約2週間余りの選挙戦がスタートしました。亥年は、3年に1回の参院選と4年に1回の統一地方選が重なる「選挙イヤー」と呼ばれ、自治体によっては1年で4つ、5つの選挙が挙行されるところもあります。

 選挙期間中、候補者および政党は様々なアプローチで有権者に支持を呼びかけますが、選挙活動にインターネットが活用され始めたのは実はごく最近のこと。「ネット選挙」の時代と呼ばれて久しいですが、公職選挙法の改正によりインターネットの活用が可能となった2013年以降で、選挙におけるWeb利用はどのように進み、またどのようなニーズに応えているのかを探ります。


 目 次

  ・日本で「ネット選挙」が解禁されるまで

  ・メール、SMSも活用可能

  ・海外におけるネット選挙の先進例

  ・日本における活用と普及、浸透の課題

  ・おわりに



日本で「ネット選挙」が解禁されるまで


 日本でインターネットそのものの普及が進んだ1990年代以降、選挙における活用が模索されるようになりましたが、当時の自治省(今の総務省)は見解として「現行の公職選挙法では、インターネットを利用した選挙活動は解禁されていない」と述べていました。同法が定める「選挙運動のために使用する文書図画」は、事前に選挙管理委員会の承認を受けたチラシ等に限定されており、インターネットを利用して候補者の写真や公約などの文書を表示させる行為が、上記で指定されていない「文書図画」の頒布にあたるという解釈から、一般に「ネットによる選挙活動は禁止」という考え方が通説となってきました。

 「通説となっている」としたのは、当時の公職選挙法の規定自体がインターネットの活用を前提としておらず、疑義が発生する毎に監督官庁や各選管が個別に判断を行っていたことによります。実際に、候補者が選挙期間中にインターネットに文書を掲載(Webページやブログの更新等)した際でも、内容が当該選挙と関係しているか否かで判断が分かれるケースがあり、一概に「候補者はWeb上での発信が一切できない」という運用にはなっていなかったのが実状でありました。また、禁止の対象が「文書図画」であることから、ポッドキャスト等「音声」を発信する候補者もおり、違反とされなかった事例がありました。

 90年台後半以降、各政党や候補者、また有識者でつくる団体等から「ネット選挙」の定義づけと解禁を求める声明や要望が相次ぐようになり、2013年に法改正が実現。正式にインターネットによる選挙活動が解禁される運びとなりました。
 その後、日本では4回の国政選挙が挙行されています(衆院選:2014,2017、参院選:2013,2016)。


メール、SMSも活用可能


ネット選挙解禁から6年、Webサイトやメール、SNS等候補者と有権者の「ネット活用」はどう進んだか


 ネット選挙解禁に伴い、Webを利用した選挙活動(Webサイトの公開や更新、ブログ・SNSによる発信、動画共有サービス・中継サービスを活用した発信)が法的根拠の下可能になりました。また、政党・候補者においては電子メールによる選挙活動も可能です(有権者はメールによる選挙活動は禁止)。当然ながら、メールを活用する場合はオプトイン取得済の宛先に対してのみ可能です。

 Webにおいても、選挙活動が出来るのは公示・告示日~投票日の前日の期間に限られ、図画はデータとしてのみ頒布が可能で、印刷・出力の上配布することなどは禁止されています。また、18歳未満は選挙活動を行うことが出来ず、名誉棄損やなりすましなど候補者および有権者の不利益となる行為には罰則が定められています。

 なお、ここで言う「電子メール」は「SMTP方式または電話番号方式」と定められており、いわゆる「Eメール」と「SMS」がそれに該当します。各種SNSのメッセージ機能はあくまで「Webサイトを介した情報交換」と位置付けられ、候補者・有権者の別を問わず活用が可能となっています。


海外におけるネット選挙の先進例


 先進国の中で、選挙活動を制限するものとしては主に「手法」と「費用」それぞれの規制があり、前者は日本や韓国、後者はアメリカやイギリスなどがそれにあたります。


スマートフォン先進国、韓国はアプリを活用


 このうち韓国では、2000年台から選挙におけるネット活用に関する規定があり、政党や候補者は早くからネットによる選挙活動を展開しており、2012年からは有権者にも活用が許可されました。

 韓国の選挙で特徴的なのは「候補者アプリ」の活用です。

 例えば、2017年の大統領選で当選した文在寅(ムン・ジェイン)氏をはじめ多くの候補が、SNSアカウントなどと並んで自前のアプリを公開し選挙活動に活用。遊説日程や公約などがアプリ上で表示・更新され、有権者は気軽に候補者の政策に触れたり、演説会のスケジュールをチェックしたりすることが可能となっていました。若年層のスマートフォン普及率が高い背景もあり、本来選挙権を持たない(19歳未満の)若者たちの間でも、大統領選が話題になっていたといわれます。


ネット選挙をアメリカに根付かせたディーンとオバマ


 一方、アメリカの場合は選挙活動の手段・方法に関する取り決めがほとんどなく、ネット活用もかつてから広範になされていました。既に90年台から、電子メールを使った選挙活動がされており、2000年台になると多くの候補がWebサイト・メールによる選挙活動を活発化させていきました。

 アメリカにおけるネット選挙の大きな転換期となったのは2004年、民主党の公認候補争いに参戦したハワード・ディーン氏のネット活用が一躍話題となったことがきっかけでした。

 同氏は、「ネットを通じた小口献金」や「ブログやSNSによる双方向のやり取り」を取り入れ、マス媒体では拾い切れなかった有権者の思いや考えを細やかに取り上げ、自身の支持基盤としていきました。こうした活動は、それまでWebやメールなど選挙チラシの代替えに過ぎなかったネット活用に新たな活路を見出すものとされ、その後の選挙活動に大きな影響を与えました。
 余談ですが、同氏は予備選で敗れ大統領候補となることはありませんでした。元々の資金力・知名度による敗戦とも言われますが、予備選序盤戦での快進撃に気を良くした同氏が支持者向けの集会で興奮気味に自身の躍進を語る様子がメディアに取り上げられ、「感情の起伏が大きい人間はトップに相応しくない」といった声が国民から上がり、その勢いを失ったとも言われています。ネットを駆使したとはいえ、当時同氏の陣営が集めたメールアドレスは約60万件。大統領選本選の民主・共和各候補者の得票数合計が約1億2千万票であることを考えれば、当時のネット選挙は未だ「数あるチャネルの一つ」に過ぎなかったことを示す結果でもありました。

 この「ネット活用」を米大統領選における「主要なチャネル」に押し上げたのが、2008年に初当選しその後2期大統領を務めたバラク・オバマ氏でした。

 同氏陣営は、期間中に1300万件のメールアドレスを収集。これは本選の投票総数の約1割にあたる数字です。この時陣営は「アドレス登録者には副大統領候補を他媒体より先に知らせる」とアピールし、登録したくなる仕組みを上手に構築していました。また、募った会員に対して献金額によるターゲティングメールを実施。実に7000通りの文面を駆使し、期間中に送ったメールの総数は10億通にも上りました。
 アメリカの大統領選挙においては、個人献金が命脈となります。大口の献金者はもちろん大事ですが、小口献金を幅広く、そして繰り返し集めることも同じくらい重要です。自らの財布から献金を捻出した候補者は、高い確率でその候補に投票を行います。また、口コミ効果も期待でき、「献金した人」の絶対数とその回数を増やしてくことで、支持者の数、そして献金額を掛け算のごとく増やしていくことに成功したオバマ陣営。結果的に、民主党・共和党両党を通じて最も多くの資金を集めることに成功し、本選ではマス媒体での大々的な広告も実施。民主党の候補として36年ぶりに50%を超える高い得票率で当選する原動力となりました。


日本における活用と普及、浸透の課題


投票者の半数以上が「Web見ていない」


 日本におけるネット選挙は、支持を訴えるメッセージや動画などの頒布が一般的で、それまで選挙ポスターやチラシなどに頼っていたアナログ媒体を代替えするものとしての側面が強く、広域に跨る選挙区内におけるポスター貼り等人手と時間が必要なアナウンス手法と比べて圧倒的に効率が高い一方、プル型メディア活用の域を得ないことからその効果は限定的とされています。

ネット選挙解禁から6年、Webサイトやメール、SNS等候補者と有権者の「ネット活用」はどう進んだか


 東京都選管が行った2017年衆院選時の世論調査で、実際に投票を行った有権者を対象に「参考にしたWeb媒体」についてあてはまるものをヒアリングするアンケートが実施されましたが、一番多かったのは「いずれのWeb媒体も見ていない」という回答でした。
 また同調査結果では、参考にしているサイトとして最も多く挙げられているのはニュースサイト等の選挙特集で、特定政党や候補者のWebサイトを参考にした割合はニュースサイトの半分程度と、「第三者性」を重視する国民性が反映されていると言えます。政治に対するスタンスとして保守的な考え方が根強い日本においては、有権者間で政治の話をすることがタブーとされる風潮もあり、ネットの親和性、気軽さを活かせない空気になっていることも一因として挙げられます。

 加えて、アメリカなどと違い直接的な「資金集め」を行おうにも限界があり(政治家個人への献金が禁止されている)、ネットの活用が「情報拡散」に留まらざるを得ないことから、追加で手間をかけてWeb周りの整備を行っていこうという機運が高まらないことも、普及が道半ばである理由の一つと言えるでしょう。


インターネットの利点である「双方向性」が普及のキーに


 普及に向けては、まずアメリカの例でも挙げられた「双方向性を活かす」活用方法が定着するかが鍵と言えるでしょう。
 例えば、SNSの活用は各候補者でかなりの拡がりを見せていますが、有権者からの質問に答える、あるいは議論を提起するなど、インタラクティブな盛り上がりを生み出す活用がなされていくことで、より幅広く「政治参加」を促すことに繋がります。

 第二に「プッシュ型メディアの活用促進」が挙げられます。
 先ほどの調査で、プッシュ型メディアの老舗である「メール」を参考にしたと答えた有権者はわずか2.5%でした。オプトインを取得する必要はあるものの、メールによる案内はポスターなどと違って十分な情報量を有権者に届けられるうえ、プッシュで届きローカルに残ることから公約の詳細やメッセージを見返すことも容易です。
 また、韓国の例で挙げられた「アプリ活用」も、日本ではまだ普及が進んでいませんが、候補者、また政党単位での取り組みが期待されます。韓国では直接選挙で大統領を選ぶため、1人の候補に対する関心度合いが日本のそれと異なるという事情はありますが、最新の情報に気軽にアクセスできるという意味においては、スマートフォンアプリの活用は理に適っていると言えるでしょう。


おわりに


 今回は、2013年から日本で解禁された「ネット選挙」に関する動きとその背景についてご紹介しました。一口に「ネット選挙」と言ってもその活用方法や媒体は様々で、特に海外ではインターネットの特長である「双方向性」を活かした取り組みが顕著で、従来の選挙活動とは一線を画すものとなっています。
 日本における選挙の課題の一つに「有権者の関心の低さ」が挙げられることがしばしばあります。ネット選挙の普及と浸透は、誰もが情報に気軽にアクセスできる環境の構築を促し、選挙に対する関心を高める一手になることが期待されます。


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