マーケティング分析における統計とは?
統計分析は専門性が非常に高く、手法や用後も多いため今回はなるべく身近なものを一部絞ってご紹介します。
統計分析は企業やあらゆるマーケティング分析に活用されています。
データを収集しただけではただの数値の羅列にしかならず、データから意味を読み取ることも有効活用もできません。
統計分析を用いることで、データから読み取れる"傾向"や"性質"を掴むことができ、あらゆるマーケティング施策において、根拠に基づいたマーケティングが可能となります。
●目次
統計とは?
統計の構成要素と活用例
・記述統計
・多変量解析
・その他の統計分析の要素
マーケティング分析における統計分析の種類
・クロス集計
・ロジスティック回帰分析
・アソシエーション分析
・決定木分析
・クラスター分析
マーケティング分析における統計分析のこれから
まとめ
統計とは?
統計とは、「集団の"傾向"や"性質"を"数量的"に明示すること」をいいます。
クラスのテストの平均点から国内総生産の実質成長率の推移まで世の中には多種多様な統計が存在します。
国や自治体が統計調査を行うのは、自国の社会情勢や各自治体に所属する市民や町民について正確に理解をするためです。
国や自治体の政策は影響を与える対象が広く責任も重大なため、意思決定にあたり客観的且つ合理的な判断をするうえで統計情報が貴重な判断材料となります。
"数値"で表すことができるもので、且つ特定の集団を形成できる対象は統計分析が可能です。
統計には感覚や主観とは異なり数量的な客観性あり、個人のバイアスがかかりづらいというメリットがあります。
しかし、昨今では統計データを悪用し、企業のマーケティングにとって都合のいい形で使われたり、そもそも正確性に欠ける統計データというものも多く流通しているため、統計データを信じすぎることには注意が必要です。
また現代では社会が変化するスピードは非常に早くなっており、統計分析から導き出された予測や仮説の前提が覆ってしまうリスクも十分にあるという点も理解しておかなければいけません。
統計の構成要素と活用例
統計についてピックアップした6種類の要素を紹介します。
統計には「記述統計」、「多変量解析」、「確立」や「サンプリング」、「推測統計(「推定」と「検定」)」といった要素があります。
実際に多くの人は、6種類のうち1要素だけを思い浮かべてそれを「統計」と考えてしまったり、1要素である「多変量解析」を統計だとイメージする人も少なくないでしょう。
比較的、一般の人に馴染みのあるもので、まずは「記述統計」と「多変量解析」について紹介します。
記述統計
「記述統計」とは調査や様々な実験で得られたデータを、表やグラフのように"可視化"することで、データの特徴となる数値を見つけ出すための分析方法です。
簡単にいえば、数値が羅列されたデータの特徴を分析し易くするために、グラフや表を用いて可視化するということです。
プレゼンの際に、グラフィカルにデータを提示する行為が、実は分析面、データが指し示す意味を他者に分かり易く伝えるという目的において非常に重要だったことがわかります。
ただの数値の羅列を単純集計による度数分布表やクロス集計表などで可視化することで、数値から見える特徴を掴むことができます。
単純集計による度数分布表においては、いい加減な回答や信用性に欠ける極端な回答がないか検証することにも役立ちます。
また、集計したデータ全体の表層しか掴めない単純集計に対し、クロス集計はデータの属性(デモグラフィック(性別・年齢などの人口統計学的な属性の総称))別に集計を行うことでデータの表層では見えない、データの内側に潜む傾向や特徴まで理解することができます。
単一の変数(※)だけを扱う度数分布表と異なり、クロス集計表では複数の変数を扱うことで、顧客の来店頻度別の買い物調査や、顧客満足度別のCS調査など、非常に多種多様なシーンで有効活用することができます
※「変数」とはよく「値を入れる箱」と言われますが、簡単に言えば、集計したデータにつける名札のようなものです。
多変量解析
もう一つ、主に認知されている統計要素として、「多変量解析」があります。多変量解析=統計分析ととらえる方も多いのではないでしょうか。
多変量解析とは複数の変数にあるデータからデータ間の関連性を分析する手法の総称です。
多変量解析を行う目的とは、「未来予測」や「仮説」、データを解析した結果の「要約」です。
多変量解析は企業の統計分析ではよくつかわれ、自社サービスやシステムの強み、弱点を知りたい、直近の売上データや来店者数から新規出店予定の店舗売り上げを予測したいという目的で使われます。
多変量解析に含まれる具体的な分析手法として、影響度の度合いを調べる重回帰分析や、対象を分類するクラスター分析などがあります
その他の統計分析の要素
その他の統計分析の要素でいえば、「確立」や「サンプリング」、「推測統計(「推定」と「検定」)」といったものがあります。 簡単にこれらを紹介すると...
・確立
「確立」は物事が起こる確率を出すことです。例えば降水確率や年末ジャンボの当選確率など割り出すことで、「今日は外出するか」、「宝くじを買うか?」などの行動を起こすうえでの合理的な意思判断をする際に役立ちます。
・サンプリング
「サンプリング」は調査を行う際に、調査対象(標本)を設定することを指します。
国勢調査のように全国民を対象とする調査にサンプリングは不要ですが、コストとして数百億程度のコストがかかるといわれています。多少精度が落ちても現実的に実施できる範囲で調査を行いたいというときに、対象を絞り出すサンプリングが必要となります。
・推定
「推定」とは、標本(サンプル)のデータから母集団(サンプルの母数)を推定することです。
例えば、全国200万人の小学校4年生の平均身長を出したいとします。しかし、200万人の小学校4年生の身長を調査するのは非現実的です。
そのため、代表として500人の小学校4年生を選出します。そこで出た平均値を小学校4年生の全国平均とする場合、平均値という意味ではいいですが、標本の"分散"という点では一定の誤差が生じてしまいます。
「標本の分散が適当にできているのか?」という点を考慮しなければいけない理由として、たまたま身長が高い生徒に偏ってサンプルが集中してしまった際に、非常に偏りのあるデータとなってしまうリスクなどが考えられるからです。
そのため、標本のランダム性が大事となります。
このように、必ずしも標本(サンプル)の平均値が母集団の平均値としてイコールにはなりません。
このような懸念を最小限にするために、「推定」があり、推定にも誤差がつきものですが、点推定と区間推定といった手法を用いることで母集団の平均や分散などの分布を表現する値を予想することができます。
・検定
「検定」は母集団の特性予測を検証する際にも使われます。検定も推定と同じく、標本の平均や誤差を用いりますが、検定の場合、母集団についての異なる立場の主張(仮説)のどちらを採択するか判定の際に利用されます。
より具体的に話をすると、「検定」は立てた仮説に対して実際の結果を確立的に検証し、結論を導く方法です。具体的には背理法というものが用いられ、仮説と結果に矛盾が見つかった場合は仮説が誤っているという判断ができます。誤っているという基準も人によって異なるため、予め判断の基準値を決めたうえで行われます。
仮説が正しいかを証明するのは非常に難しいですが、仮設が正しくない・誤りであるということを証明することは比較的簡単です。
人は100歳で寿命を迎えるということを証明するには歴史上の全人類の寿命を確かめなければいけませんが、100歳を超えた人を一人でも見つければ人は全て100歳で寿命を迎えるという仮説と結果が矛盾していることが分かるわけです。
マーケティング分析における統計分析の種類
クロス集計
クロス集計により複数の変数を使って変数間の相互関係を割り出すことができます。
クロス集計は非常に多くのシーンで利用されており、企業のマーケティングにも活かされることが多いです。
一つの変数を使った単純集計による度数分布表では一面的な傾向・性質しか掴むことができませんが、クロス集計のように複数の変数を組み合わせることで、より多面的な観点からデータ分析を行うことが可能です。
例えば、夏は好きか?という変数と、海にいくか?という変数や、あなたの性別は?などのデモグラフィック(人口統計学的な属性情報)属性を組み合わせることで、より細分化した結果を得られることができます。
属性ごとの好みの傾向などがわかることから、新商品の開発予測や販売戦略に役立てることができます。
ロジスティック回帰分析
クロス集計同様、多変用解析の中の一つの手法で、こちらも企業のマーケティングで多く使われます。
ロジスティック回帰分析では、「顧客がDMやメール・メルマガに反応するか?/しないか」、年齢毎に「製品購入をするか/しないか?」、「患者の癌の発生リスクはあるか/ないか?」のような、0か1かのような予測などを立てる際に利用されます。
ロジスティック解析は重回帰分析と混同されるケースが多いです。主な違いは目的変数の種類が異なることです。ロジスティック解析では、〇〇が起こるか、起こらないか?など0か1の2値しかありません。そのため、明確な結果を得たい場合はロジスティック解析が向いています。
一方、重回帰分析では、「天候からの販売量を予測したい」といったような、目的変数(予測したい値)が連続値となるようなものには向いており、0か1かのような明確な結果を得たい際には向いていません。
アソシエーション分析
アソシエーション分析もビッグデータのデータマイニングにおける手法の一つで、マーケティング分析でよく使われます。
データマイニングとは企業と顧客の関係を長期的に構築していくうえで欠かせないテクノロジーのことを指します。
より具体的には収集したデータからマーケティングに有効活用が期待できそうなデータ間から見えるパターンやルールを分析するための手法です。
アップセルとクロスセルの効果を高めたいときに有効で、例えば、「Aの商品が売れるとBの商品も売れるようになる」というような傾向が分かります。
このような分析ができると、オフライン、オンライン問わず、商品陳列を考える際や広告デザイン、商品カタログのデザインを設計する際にベストな形がなんなのかということを予測できます。
コロナの影響でオンライン経由の顧客が増加した昨今のことを考えてもビッグデータを有効活用する重要性は高まっています。
セールスマンや販売員の感性や経験に依存しすぎず、顧客の深層心理に根差したアプローチをとれることから、データ分析は大きなポテンシャルを秘めているといえます。
決定木分析
「決定木分析(ディシジョンツリー)」とは図で表すとロジックツリーのような見た目をしており、目的変数(変数の例:システムエンジニア職への関心の有無)にさまざまな説明変数(変数の例:プログラミングの学習経験がある→〇×、黙々と一人で作業ができる→〇×など)を用いて枝分かれさせていき顧客属性の詳細を見極めていく分析手法です。
顧客像を分析することで、顧客のサービス選定基準から離反原因の把握、ターゲティング(セグメント)が可能です。
機会学習やデータマイニングを学ぶ際にもよく出てくる「決定木分析」は、樹形図の深度が深くなればなるほど(変数の数が増えていく)、より明確な顧客像を把握することができます。
クラスター分析
クラスター分析はブランドの分類や顧客のターゲティング(セグメント)など、対象を分類する際に有効です。
分析手法としては異なる性質の要素をもつデータ群から共通する要素をもつデータを分類し、分類したグループ(クラスター)ごとの属性を分析する手法です。
クラスター分析は属性情報などが定まっていないデータも分析が可能で、クラスター同士の関連性を特定することで顕在化していない顧客のニーズを分析することが可能です。
マーケティングで活用する際、具体的にはサービスや商品を提供する企業で、複数の商品・サービスを取り扱っている際に、商品・サービス毎のポジションが消費者目線で分かるため、販売や商品開発に有効活用が可能です。
マーケティング分析における統計分析のこれから
2021年現在、市場調査やリサーチを専門とするマーケティング部門を設置する企業も増えてきているようです。 ビッグデータを活用する企業が急成長を遂げていることに拍車をかけるように新型コロナウイルスの影響でビジネスのあらゆる領域がオンラインに置き換わりました。
このような背景から、今後さらにマーケティングにデータを活用する重要性は増してくることが考えられ、専門性の高いマーケターの需要はいわずもがな高まっていくのではないかと考えられます。
とはいっても、統計分析で得られた予測は普遍的なものではないということを理解しなくてはいけません。現在テクノロジーの変化とグローバル化により社会が目まぐるしく変化をしているからです。
つい先日まで予測の前提となっていたデータそのものが大きく変化することで、少し前にでた予測が意味をなさなくなるという事態はこれから頻発します。
データの蓄積と分析・仮説をだし続けることはもちろん、最新の予測から次なる打ち手をスピーディーに行っていかなければいけません。
打ち手を実行するか否かの判断が後手後手に回り続ければ、ゲリラ戦が得意な新興企業との競争に勝つことができなくなってしまうでしょう。
統計で得られた予測が盤石だと考えず、スピード感のある意思決定と方向転換ができる組織体制も構築していくことが大切です。
まとめ
今回は、統計分析の基礎的なお話から具体的なマーケティングでの活用例を一部紹介しました。 統計分析の定義や手法も多種多様で、一言で簡潔に説明ができるものではありませんが、間違いなく、今後企業が飛躍していくうえで、データ分析の分野が重要になることは言うまでもありません。
エクセルの集計機能で簡単にできる分析手法もありますが、多くの統計分析は専用のBIツールといった分析システムが必要になります。
加えて分析ツールを使いこなし、予測や仮説をたてる分析マンのスキルを習得するのも容易なことではありません。
とは言っても分析について全く知見がないよりは、ポイントだけでも押さえておくことで、企業のリソース配分を分析に割けるということも視野に入れることができるはずです。
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