【EC向け】セグメントメールで顧客単価を最大化
今回の記事では、ECにおける「顧客単価のアップ」と、「休眠化の防止」を狙うため、
・「セグメントされたメール」配信の重要性
・「顧客ランク」の特徴と購買傾向
・「RFM分析」の紹介
主に上記の3つについて書いていきます。
情報革命の真只中にある現代社会では、「顧客ニーズの細分化」が進んでいます。
顧客は「自分にマッチした商品」や「好ましい情報」だけを求める傾向にあり、
メールマーケティングに関わらず、one to oneの「セグメントされたアプローチ」が強く求められます。
マーケティングの最先端にいる欧米のメールマーケッターの多くは、すでに「セグメントされたメール」の重要性と、その効果を理解しており戦略的に活用しています。
ECのメルマガでは、購買データから顧客の特徴を見極めることができるので、一人ひとりにマッチしたメール配信をすることができます。
■目次
受信者は適切にセグメントされたメールでないと開封しない
セグメントメールの有用性
セグメントの種類
配信システムを使ったセグメントメール
顧客を一度「休眠化」させてしまったら、次回の購買行動に繋げるのは難しい
安易な割引メールには注意が必要
顧客ランクごとに購買行動や心理状態が異なる
顧客ランク
リピートと離反の「分岐点」
RFM分析を使った顧客ランク分け
まとめ ~セグメントされたメール配信が大切~
受信者は適切にセグメントされたメールでないと開封しない
顧客単価が中々上がらないという、下記のような悩みを抱えるEC事業者様は多いかと思います。
・メルマガを配信しているが、長期的なリピーターが増えない
・クロスセルができない
・優良顧客でなく、休眠ばかりが増えてしまう
ECメルマガ配信で成果が出ない大きな要因には、
「セグメントをかけたメール配信」ができていないことが挙げられます。
メルマガを受け取っている人達の平均メール受信数は一日に数十件を超えることは珍しくありません。
そのため、その他大勢に向けられた一斉配信メールでは、読者に開封してもらうことは困難です。
これはメールに限らず、通常のコミュニケーションでも同じことが言えます。
その他大勢に宛てられたメッセージは、他人事のように感じてしまい、振り向いてもくれません。
メールの開封率を高め、商品ページへの誘導を促すには「one to one(1対1)のセグメントされたメール配信」が重要になります。
セグメントメールの有用性
アメリカで行われたeMarketer Incのマーケティング調査から、
セグメントメールの有用性が証明される貴重な調査結果のデータがあります。
セグメントメールの配信を行うことで
・メールマーケッターの39%が開封率を向上
・さらに28%が解除率を低下
・そして24%が収益の向上を実現したと回答
出典:Habspot掲載記事より
http://blog.hubspot.com/blog/tabid/6307/bid/13879/Segment-Your-Email-List-To-Increase-Open-Rates-Data.aspx
また、MarketingSherpa LLCの調査からもセグメントが重要であることがわかります。
調査結データとして
・32%のマーケッターがデータベースのセグメントを翌年の最重要事項だと回答
・さらに、52%のマーケッターがデータベースのセグメントのニーズを強く感じていると回答
出展:Habspot掲載記事より
http://blog.hubspot.com/blog/tabid/6307/bid/32848/Why-List-Segmentation-Matters-in-Email-Marketing.aspx
また、あのオバマ元大統領もセグメントメールの配信で、多大な寄付金を募ったことは有名な話です。
これらの事例や調査結果から、
セグメントメールはマーケティング施策上、有効的な手段であることがわかります。
メールの受信者は、無作為な一斉配信や的外れなセグメントを望んでいません。
また、メール配信の「マナー」として、メールを送る場合は極力最適なタイミングで対象者にだけ送ることが理想とされています。
セグメントの種類
セグメントの仕方は様々です。
例として
・年齢と性別ごと
生年月日を収集し、特定の年齢層だけにメール
・購入した商品ごと
商品購入後にレビューの依頼を自動で配信する
・地域ごと
営業所や店舗があるサービスエリア内だけにメールを送りたい
・職業や職種ごと
興味やニーズの違いに応じてコンテンツを分けて配信
・既存か新規
クロスセルを目的としたメールを送る
・開封か未開封
開封した対象は見込み顧客の可能性があるため、期限付きのセールスメールを配信
・クリック
クリックしたURLに応じて最適なコンテンツを送る
・店舗かWEB経由か
店舗であれば店舗ごとの来店促進を、WEBであればサイトへの再訪を促すメールを配信
上記はあくまでセグメントの一例です。
どの属性情報を入手し、セグメントメールを配信するかは事業者や商品ごとに異なるはずです。
まずは「トライアンドエラー」を繰り返してみることが大切です。
配信システムを使ったセグメントメール
メール配信システムを使うことで「セグメントされたメール」を効率的に配信できます。
・宛名を差込んで配信
メール受信者は「自分の名前」が入っているメールが届くことで、一斉配信されたメールよりも反応が良くなる。
・カゴ落ちメール
決済されなでカートに放置されたままの商品を、再度勧めるメールを「自動」で配信。
カゴ落ち商品はもともと購入意欲が高かった商品なので、その商品を再度勧めるリマインドメールを送ることで本購入に繋げるきっかけをつくることができる。
・レコメンドメール
会員の購買行動を分析し、そのデータに基づいてお勧め商品を紹介できる機能。
会員のニーズにマッチしたメール配信ができる。
・RFM分析
会員の購買データに基づき「顧客ランク」を付ける。
その後、顧客ランクごとにセグメントメールを配信することで顧客単価のアップを狙う。
顧客を一度「休眠化」させてしまったら、次回の購買行動に繋げるのは難しい
メールマーケティングを行う際によく陥りがちなのが、顧客を「画一的」に見ることです。
顧客には購買における「ランク」というものが存在します。
そのランクに応じたセグメントメールを送ることで、
・顧客単価のアップ
・メルマガ読者の休眠化を減らす
ことができます。
因みに、顧客がなんらかのアクション(商品購入やサイト訪問等)をしてから、
3週間ほど次になんのアクションも起こさず時間だけが経過すると、その顧客は「休眠顧客」になる危険性があります。
一度休眠になってしまった顧客に次の購買行動を起してもらうことは困難です。
休眠になってしまう会員顧客の割合を減らさなければ、
いくら広告を打っても離反が止まらず、また新たに新規を獲得しなければいけません。
加えて、短期の間に休眠顧客になってしまうということであれば、利益の伸び率は平行線のままです。
安易な割引メールには注意が必要
顧客の「休眠化を防ぐ」目的で、割引メールを一斉配信するときは注意が必要です。
下位ランクの顧客に対しては効果的ですが、
長期リピーターの「優良顧客」に対して、割引メールを送ると「響かない」ケースが多く、
最悪「マイナスイメージ」を生みます。
優良顧客には割引メールではなく、「商品の特徴や魅力」を謳ったメールを配信したほうが反応は良いです。
休眠化を防ぐためには、割引やキャンペーンメールだけではなく、
「ターゲットに合った内容」
を送らなければ効果は得られません。
最適なメールを送るために、まず必要になってくるのが「顧客のランクを正確に把握する」ことです。
顧客ランクごとに購買行動や心理状態が異なる
休眠となる要因は複数あります。
その大きな要因の一つに、
顧客ランクごとの「セグメントされたメール」が送られていないことが挙げられます。
例えば、
・「優良顧客」に対しては、
リピート購入の期間を延ばし、加えてクロスセルによる別商品の購入も促します。
・下位ランクの顧客の場合、
アプローチ方法を工夫しても「長期的な関係」を気づくことは困難です。
この層には、
ステップメール(フォローアップメール)や定期的なキャンペーンメールを送っても、
単発での購入、もしくは短期間の購買行動を起した後、「休眠顧客」する可能性が高いです。
一度顧客になった以上は「優良顧客」に引き上げたいという気持ちになるかと思いますが、この層にはあまり期待をしないほうが良いでしょう。
なぜなら、リソースを割いた割に結果が伴わないケースが多いからです。
顧客ランク
顧客のランクにはいくつかの種類があります。
大きく分けると、「上位」と「下位」の2つに分類でき、
さらに細分化すると、5つに分類ができます。
●上位ランク:全体の約30%
(1)超優良顧客
(2)優良顧客 ※メインターゲット
(3)優良顧客の予備軍
=================●下位ランク:全体の約70%
(4)定着顧客 ※「ある一定期間」のみ購入する層
(5)優良でない顧客 ※1回限り、または初回の割引時だけ購入する層
に分けられます。
このランクは顧客の「購買データ」を読み取ることで、判断することができます。
下位ランクは、そもそもの購買ステータスが低いため、深追いしても継続的な購買行動を期待できません。
※割引やキャンペーンメールに強く反応するのはこの層です。
ターゲットとして最も意識すべきは
「上位層の20%を占める優良顧客」
です。
上位層を獲得するには、割引やキャンペーンメールといったアプローチはマイナス効果で、
商品の魅力や特徴を伝えるようなメールが有効的です。
分岐点
購買データを分析すると大概、ある程度の購買回数以降から、
顧客が離反する割合が一気に減る「分岐点」というものが見えてきます。
この「分岐点」を超えても購入を継続している顧客は「定着顧客」以上のランクになります。
それでは実際に各ランクに具体的にどのような特徴があるのかを紹介していきます。
優良顧客(メインターゲット)
「分岐点」を超えて、更に一定期間を経ても離反せずにリピートを継続していれば
優良顧客といえるでしょう。
この層は徹底的にリサーチを行う必要があります。
なぜなら、メインターゲットとして
最も意識すべきは「優良顧客」
だからです。
優良顧客は「長期的なリピート購入」と「アップセル」が見込め、 この層を増やすことが、「事業の安定」を目指すうえで欠かせない条件になります。
この層も、定着顧客や予備軍同様、価格の安さを購買の判断軸とはしていないケースが多いです。
特徴として、
「自分にマッチした商品」を求めており、実際に利用してみて「マッチ」していると判断すると、とことん「商品を愛してくれる」傾向にあります。
また、関連商品や付属商品の購入にも積極的です。
商品に対する想いは、時間の経過と共に高まっていきます。
すると事業者側が商品のプロモーションをしなくても、「顧客自ら商品に対するポジティブな情報を探す」ようになります。
承認欲求の高いタイプであれば、
商品の魅力を家族、友人、知人、SNS上のフォロワーへ拡散してくれることが期待できます。
この承認欲求の高い人というのは必然的に交友関係も広く、SNS上のフォロワーも多いので、広告効果も発揮します。
運がよければ、「優良顧客の予備軍」も引き寄せてくれます。
※優良顧客予備軍は、SNS等で評判のいいものに関心を寄せる傾向がある
この層は「商品愛」をもっているため、下手な割引は逆に商品価値を下げ、マイナスイメージを生み出す危険性があるため注意しましょう。
押し出すべきは
「価格」ではなく、商品の「希少価値」や「魅力・特徴」、「こだわり」
の部分です。
他にも、「あなただけに送る〇〇」や「会員様限定情報!」
といった特別感のあるメールや、長期リピートをしてくれていることに対するお礼の手紙付きDMを送ったりすると尚好感度が上がります。
加えて、座談会などを企画し、より関係値の構築に重点を置くことで「one to one」のアプローチをとることもできます。
優良顧客に対してのプロモーションの方向性は恋愛に置き換えると定まりやすいかもしれません。
まず、「商品」を自分自身に置き換えてみます。
自分の強みを客観的に見て評価されるポイント、できることを棚卸してみます。
次に、自分を好きになってくれそうな人を顧客に置き換えてみて、
・どんな人だったら自分を好きになってくれるか?
・長期的にお付き合いができそうか?
これらをイメージしてターゲットを明確にしていきます。
そうすることで、どんな内容のメルマガで、どんなステップメールを送るのが最適なのかということも徐々に見えてきます。
因みに、優良顧客が休眠になってしまった場合ですが、
何かがきっかけでまた商品を購入する機会があると、また優良顧客として積極的かつポジティブな購買行動をおこしてくれやすいのも特徴です。
そのため、過去に優良顧客だった休眠顧客に戻ってきてもらえるように、「気を配った施策」を怠らないことも大切です。
定着顧客
優良顧客(長期的なリピーター)にはならないものの、
「定着顧客」という「一時的」にリピーターになってくれる層がいます。
この層の購買傾向として、
「ある一定期間は購買行動を継続する」という特徴があります。
そして、この「ある一定期間」を過ぎると購買を止めてしまいます。
※継続的に購買データ(商品によって異なる)をみていけば、「ある一定期間」の目安を割り出せます。
この期間を過ぎても継続購入していれば、優良顧客以上のランクになります。
この層への最適なアプローチ方法は、
商品を購入してくれる期間は「一時的なリピーター」として、着実に商品をリピートし続けてもらえるようにすることです。
加えて、
「一定期間だけ商品を購入し易い」状態にあるため、
その期間を過ぎる前に、他の関連商品を紹介し、「追加購入を促すクロスセル」も有効です。
そもそもなぜこの層が、「ある一定期間」しか購入をしないのかというと、
下記のような理由が考えられます。
・商品に愛着をもつようなタイプではない
・結果重視、合理的なタイプ
・短期的に成果を求めており、商品を試す期間を決めている
・商品購入の優先度が低い
この層は「短期間での成果」を求めているため、「ある一定期間」内に課題が解決・成果が出ないようであれば、購入を止めます。
※金銭的に相当な余裕がなければ、優先度の低い通販出費を別の出費に転換するか、他の商品に切り替える可能性が高いです。
そのため長期的な購入は期待できませんが、
リピートしてくれる期間内は最大限商品を継続購入してもらえるよう、「ステップメール」を活用してフォローアップを行います。
送る内容としては
・商品の利用を促す
・商品の効果的な使い方を紹介する
このようなフォローアップをすることで、2回目、3回目の購入に着実に繋げます。
なぜステップメールによるフォローアップが必要かというと、定着顧客のリピート期間が短くなるリスクがあるからです。
その要因として、
・商品を使っていない
・活用の仕方がよくない
といったことが考えられます。
そのため、ステップメールでのフォローアップはとても重要です。
「到着確認」や「利用促進」、「商品の効果的な使い方」、「質問受付」等を行い、
商品利用を促し、適切に使ってもらうことで「短期での休眠化」を防止できます。
ここで注意したいのが、クロスセルのタイミングです。
定着顧客にはまず「一定期間のリピート」を確実にしてもらうことが最大の目的になります。
そのため、まずは初回購入後にフォローアップのメールを送り、商品を「確実に利用」・「効果的」に使ってもらえるように促します。
その後、「ある程度商品の理解と関心を深められたタイミング」で、クロスセルを狙います。
因みにリピートしてくれる期間を延ばそうと、割引やキャンペーンメールを送っても、この層にはあまり響きません。
安易な値引きは自社の疲弊に繋がるので、気を付けたいところです。
ただ、「離反率が上がる分岐点」に差し掛かるタイミングで、 再度、割引メールやキャンペーンメールを送ることにより、離反する時期を多少引き延ばすことはできます。
※分岐点については後ほど詳しくご説明します。
最適なメルマガを配信できていても「分岐点」を過ぎると、ある程度離反されることは免れません。
取りこぼしが出てしまうのは、顧客ランクごとの「性質上の問題」であるため、メールの配信者側のコントロールにも限界があります。
優良顧客の予備軍
優良顧客の予備軍は、「金銭的に余裕がある」層です。
価格的な優位性を謳う割引メールに対しての反応が薄く、高額であっても商品利用者からの「評判」がよく、「品質の良い商品」に価値を感じます。
特徴として、
商品購入の優先順位は低く、自ら情報を集めて動くケースは少ないです。
知人からの紹介やフェイスブックやツイッター、インスタグラムといったSNSなどから
情報を得ており、「評判がよく効果を期待できそう」なものに購買意欲を喚起させられます。
そのためこの層の集客ポイントは、商品愛をもつ「優良顧客のポジティブな声」を届けることです。
この声をSNS上で拡散するような施策を取ると良いかもしれません。
金銭的に余裕があるため、高額商品の購入等はこの層がしている場合が多いです。
そのため、セット提案ができる○○パックといった形で、パターンをいくつか用意することで、まとめ買いを狙うこともできそうです。
しかし、「優良顧客の予備軍」は、課題感が低いので、「長期的な購入・リピート」はしない傾向にあります。
他に良い商品があれば、容易に流れてしまう性質が難点で、追いかけてもそれ以上の購買行動を促すのが困難です。
ただ、「一時的な売り上げ」には貢献するので、定期的に獲得しておきたい層です。
超優良顧客
超優良顧客は「裕福」であり、課題に対する「意識が相当強い」層になります。
裕福なため安価な商品よりも、高額な商品に高い価値を感じる傾向があります。
この層は課題意識がかなり強いので、それを解決するためなら高額なコストを投じて、様々な手段を試みます。
そのため、商品が課題感に合っているようであれば、
高額商品であろうが積極的に購入をしてくれ、関連商品も進んで購入するので、クロスセルも非常に容易です。
結果的には顧客単価も必然的に高額になります。
しかし、そもそもこの層は母数が圧倒的に少数で、思考が一般の人と異なります。
そのため、ここをメインターゲットにしてしまうと、あまり成果には結びつきません。
※例外として、異常なほど課題意識が強く、コストを気にせず商品を買いあさるタイプもいますが、これも少数派です。
この層の獲得に関しては、リスティング広告やSEOといった受け身の施策で獲得することは困難です。
狙ってアプローチを仕掛けたいということであれば、
事前にターゲットを定めて、こちらから直接的な接触(足を運んで会いにいくなど)を図るのが有効的です。
リピートと離反の「分岐点」
購買データを分析すると大概、ある程度の購買回数以降から、
顧客が離反する割合が一気に減る「分岐点」というものが見えてきます。
分岐点を起点として、配信するメールの内容が変化します。
例えば
3回目の購入が「分岐点」になる場合、下記のような流れで配信を行います。
・まずは3回の分岐点までは購入してもらえるようなシナリオを考え、メールを送る
↓
・4回目以降は「商品の魅力や特徴」といったメールを送る
また、下位ランクには
「離脱率が増える分岐点」もあります。
そこを割り出し、離反しそうな時期にピンポイントで割引やキャンペーンメールを送ることで、リピートの延長を狙うことができます。
まずは「購買データを獲得」し、離反する割合が増える「分岐点」を見極めます。
メールの内容は「分岐点」を起点にして調整していきます。
※「分岐点」を見つける指標は、購買額でも、購入回数でも構いません。
また、平均値というものはなく、業種やターゲット、ショップ毎によっても異なるので、実際に分析してみる必要があります。
注意しておきたいのが、
下位ランクに合わせた施策
を取ってしまうことです。
無作為にキャンペーンメールや割引メールを一斉配信した場合、
割引したわりに成果が伴わない状態に陥るリスクがあります。
加えて、商品に愛着をもっている「優良顧客」にとってみれば、
割引メールはあまり響かないうえに、商品価値を下げるイメージダウンにも繋がりかねないので、結果として解約に繋がってしまうリスクになります。
安易に「割引」という手段が常態化すると、販売者側の経営負担が重くなります。
また、長期的な購買をしてくれる優良顧客の確保ができなければ、いつまでたっても健全な営業はできません。
「安定した売り上げアップ」を目指す上で、最も重要視するべきは
「優良顧客」の確保です。
この層は「長期的なリピート」に加え、「クロスセル」が期待できるので、最も注力するべき顧客です。
この層は全体の20%にも満たないものの、着実に数を増やし続けることができれば、
事業の基盤として「安定した成長」に大きく貢献してくれます。
ただ、全体の売り上げ目標を達成するためには、やはり、他の層に対する施策を練るといった
「バランス」も大切です。
RFM分析を使った顧客ランク分け
顧客ランクによって購買行動や心理状況が異なるということはご理解頂けたかと思います。
このようなランクがあることを深く理解せず、
「画一的」に顧客を見てアプローチをするのは、マーケティング施策上、非効率であり、残念ながら成果へのコミットも小さくなります。
「顧客単価のアップ」と「休眠顧客を作らない」ためのメルマガ施策として大切なことは、
・ランクにあった「セグメントされたメール」の配信
・ステップメールによるフォローアップ
を展開することです。
では実際にどうしたら顧客のランクを分けることができるのかというと、
有効的な手段は複数ありますが、その内の一つとして
「RFM分析」
というものがあります。
※具体的な分析の仕方については、また次の機会でご紹介します。
RFM分析は、会員顧客の購買データのうち、
下記の3点のデータを抽出し、このデータに基づき評価をしていきます。
・最新購買日Recency(リセンシー)
・購買頻度数Frequency(フリークエンシー)
・購買金額Monetary(マネタリー)
※この3つの頭文字をとって「RFM分析」と呼ばれています。
一見難しそうな印象もありますが、有効的な手段なので、是非一度試してみて頂きたいです。
RFM分析は目的さえ明確にして分析すれば、「簡易的に分析」をする方法もあります。
例えば、
RFだけ、FMだけといった形で、「2軸での評価」を行うと簡単です。
※本格的に分析を行った場合、RFMは3つの評価軸が存在するため、3次元で立体型の図となります。
加えて顧客のグループ分けもかなり複雑化してしまい、分析難易度も上がるので、分析に慣れているということでなければ、2軸でやることをお勧めします。
ランクも掘り下げていくと下記のように、各評価軸から、細かい購買ステータスまで読み取ることもできます。
•Rが高い顧客ほど将来の収益に貢献する可能性が高い
•Rが低ければFやMが高くても他社に奪われ離反している可能性が高い
•Rが同じならFが高いほど常連客になっている
•Rが同じならFやMが高いほど購買力がある顧客
•RやFが高くてもMが少ない顧客は購買力が低い
•Fが低くMが高い顧客はRの高い方が良い顧客
•Fが上がらないか下がっている顧客は他社に奪われている可能性が高い
•RFMすべてが低い顧客は切り捨てることも検討
参考:奥瀬喜之 久保山哲二(2012)『経済・経営・商学のための「実践データ分析」』講談社
因みに、評価軸として一番ウエイトが大きいと考えられるのは、
「最新購買日Recency(リセンシー)」です。
購買頻度数Frequency(フリークエンシー)と、直近の購買金額Monetary(マネタリー)よりも、直近で購買行動を起した顧客のほうが、「活きたお客様」として今後、優良顧客としての成長が見込めます。
ランク付けをする際には、購買総額を軸に見ると判断し易いです。
※判断する対象の目安は少なくとも100人くらいを対象にすると良いです。
指標とする評価軸の「データ抽出」と「分岐点」を割り出すことができれば、
分岐点を起点として、各ランクにマッチしたメール文書を作成し、セグメントをかけたメールを配信していきます。
メールを受信した会員顧客は自分の状態に合ったメールが届くことで、開封してくれやすくなります。
この工程を経てセグメントメールを配信することが、
ECにおいて「休眠化の防止」と「顧客単価のアップ」を実現するための重要な施策になります。
まとめ ~セグメントされたメール配信が大切~
今回の記事では、
・「セグメントされたメール」配信の重要性
・「顧客ランク」の特徴と購買傾向
・「RFM分析」の紹介
について書きました。
顧客のランクを分けず、
無作為で画一的なメールを配信し続けてしまうことで、
・長期的なリピート(顧客関係の維持)
・顧客単価のアップ
が困難になります。
現代の顧客の購買傾向として、 適切なセグメントがかかったメッセージでないと反応してもらえない風潮が強くなってきています。
適切なセグメントをかけたアプローチができなければ、 いくら広告費をかけて新規を獲得しても、多くは短期間の内に休眠化してしまいます。
その分、また新規を獲得しなければいけないので、自転車操業的なビジネスモデルになります
例えるなら、
大きな穴の開いたバケツに水を汲むようなものです。
いくら水を汲んでも穴から水が漏れてしまうので、またすぐに水を汲まなければ空っぽになってしまいます。
この繰り返しとなり、非効率なうえ、頑張った割に成果が伴わないという結果を招きます。
この「穴」を完璧になくすことは極めて困難ですが、小さくすることは可能です。
事業を安定させるためには、
長期的に売り上げに貢献してくれる「優良顧客を獲得・維持」していく必要があります。
まずは「顧客のランク分け」をある程度のレベルで行い、
そのランクに合った「セグメントされたメール」を配信することが理想で、顧客単価のアップを狙えます。
マーケティングの最先端にいる、欧米のメールマーケッターもセグメントメールの重要性を理解し、戦略的に活用していることを考えれば、見習うべきところは多いかと思います。
現状、メルマガやステップメールを配信するうえで、
顧客の購買データをうまく活用できていないということであれば、これを機にセグメントメールと併せて、購買データの活用の仕方を今一度見直してみてはいかがでしょうか?
キューノート エフシー
メール配信システムCuenote FC(キューノートFC)は、会員管理やメール配信後の効果測定をグラフィカルに表示。システム連携用APIなども提供しており、一斉配信からメールマーケティングまで行えます。独自開発のMTA(配信エンジン)とノウハウで、月間のメール配信数76億通・時間700万通以上(※)の高速配信を実現し、スマートフォンや携帯にもストレスなく高速・確実にメールを届けます。
※クラウド型サービス(ASP・SaaS)の実績値