カート放置メールで顧客を取り戻す
オンラインショップの担当者なら誰でも、日々の売上や全ての商品・在庫状況などの情報以外にカート放棄についても気にかけているはずです。カート放棄の改善は、オンラインの売上に直結します。このカート放棄した顧客を取り戻すために、メールマーケティングでやれることがあります。
本日は、カート放棄メールについてご紹介いたします。
あなたは、ご自分のオンラインサイトのアクセス数や売上金額の他にもカート放棄率(コンバージョン率)はどれぐらいか把握されていますか?
GoogleのAnalyticsでもEコマーストラッキング機能を利用して、売上状況(商品・数量・収益)、コンバージョン率等を確認する方法があります。目標到達プロセスを確認し、毎月どれぐらいのカート放棄があるのか把握できます。
・e コマース トラッキングの設定 - アナリティクス ヘルプ
ECサイトのカート放棄率は、7割もある
ブログ記事「カゴ落ちとは?メールで解決するカゴ落ち対策」でもご紹介しましたが、海外の調査によるとECサイトのカート放棄率は、7,8割にもなります。ということは、売上につながる可能性があった顧客の2,3割しか、購入まで至っていないということです。
カート放棄の原因は?
カートに商品をいれたものの、カートを放棄してしまう原因は、どのようなことが考えられるでしょうか?WorldPay社のアンケート調査によるとカート放棄原因の上位5つは、以下のようになりました。
1. 想定していなかった費用が発生した
みなさんも一度は経験があると思いますが、"送料が思ったより高く、購入をためらってしまった"という理由が一番でしょう。
2. ただ単にウィンドウショッピングしているだけだった
商品を購入する前は、さまざまなECサイトを見て、比較検討をします。そのため、"比較検討するためにカートに置きっぱなしにしている"という理由が考えられます。
3. もっと安い店を見つけた
価格のことだけを考えれば、既に他のECサイトで購入しているかもしれませんが、購入済みであるかどうかを把握することは困難です。 しかし、まだ購入していない段階であれば、ECサイトの評判や商品レビューの信頼性などが購買動機となり、また戻ってきてくれるチャンスはあります。
4. 全体として見てみたら思ったより高額になってしまった
こちらも、みなさんが良く経験されるケースだと思います。複数商品をカートに入れたのは良いが、合計金額が思ったより高く、商品の優先度を考えているケースだと思います。
5. 購入に反対されてしまった
カート放棄の対策次第で、売上に大きなインパクトを与える
もし、カート放棄をした顧客のうち、数割でも取り戻すことができれば、ECサイトの売上に大きなインパクトを与えることができるでしょう。
海外のデータにはなりますが、Baymard Institute社の調査によると、購入を中断したユーザーは高い確率で、その後に購入いただけることが分かります。
- ・初回訪問時に購入を中断したユーザーの18%がその後購入する。
- ・2回以上購入を中断したユーザーの48%がその後購入する。
- ・過去にそのショップで購入した経歴があるユーザーの購入中断は57%の確率でその後購入する。
施策によって、全てのカート放棄者を取り戻すことは、現実的ではありませんが、一旦、購入のプロセスに進んだ購買意識の高い顧客をそのまま放置するわけにはいかないことは、誰が見ても明らかです。
カート放棄による売り上げ機会損失防止にメールを使おう
カート放棄メールとは、カートに商品と追加したものの、最後まで購入の手続きをせずに離脱した顧客に対して送るメールのことです。
海外の事例では、カート放棄メールの"クリック率、コンバージョン率は20~30%ほど"という調査結果もあることから、カート放棄メールは効果的です。
カート放棄した方へOne to Oneでアプローチするには、人が個別に対応したのでは間に合いません。そのため、メールを利用して、カート放棄メールをオートメーション化するのが現実的です。
カート放棄メールに必要な2つのこと
カート放棄メールは作ることが簡単です。ただし、カート放棄メールに必要なことは、2つです。
1.どの商品を放棄しているか思い起こさせる
アイテムをカート内に放棄してから時間が経過しているかもしれません。その場合に、どのような商品がカートに放置されているか、顧客に思い起こさせるようにしてください。
そのため、顧客が購入する予定だった商品を表示し、さらにカートに直接戻れるリンクと共に商品をカート内に保存しておくことは必須です。
BtoB向けビジネスの場合は、何がカート内に放置されている商材・サービス名をリストにしたとてもシンプルなテキストメールを送る場合もあります。
その場合も、再度、個人情報やパスワードを入力しなければならない手間を省き、顧客のカートに直接戻れるリンクをはっておくと良いでしょう。
HTMLメールを使えば、放置したままの商品を一目で把握できます。HTMLメールはデザイン性に優れ、ウェブサイトと統一感を持たせ、ブランドイメージの訴求にも役立ちます。
2.コピーは分かりやすく
カート放棄メールであることを強調することでメール経由のコンバージョン効果を高めます。HTMLメールの場合、アクションポイントとなるボタン画像は、「ショッピングカートを見に行く」、「ショッピングカートに戻る」など、大き目のボタンを用意します。
また、"カートに商品が残っています"、"商品をお預かりしています"、"カートの有効期限は3日間です"といったような分かりやすいタイトルやコピーを用意し、商品画像からもカートへ直接戻れるリンクを貼るようにしましょう。
優れたカート放棄メールとは、(1)顧客の気を引くためのコピー、(2)簡単にカートに戻れるリンク、(3)放置されている商品の画像の3要素が必ず入っています。
また、以下は必ずしも必要ではありませんが、可能であれば検討の余地のある演出です。
送料無料のオファー
カート放棄の理由1位にもある通り、顧客の多くは、送料や税金を含めたコストが期待していたよりもかかることが分かり、カート放棄したのかもしれません。そのため、顧客にとって、"送料無料"や"一定金額以上での送料無料"オファーは魅力的なはずです。
このようにECサイトにとって、売上機会損失を防止する重要なカート放棄施策ですが、"対策を行っている企業は16%に過ぎない"(※)という調査結果もあるように、対策を行っていないECサイトは、まだまだ多くあるのも現状です。
※Seewhy社の調査結果(2011年)による。
お使いのECサイトやメール配信システムがカート放棄メール機能と連携している場合、カート放棄メールの設定はそれほど難しくないはずですので、ぜひ対策を検討してみてください。
今回はカート放棄施策について、ご案内しました。今後も、実際にカート放棄メールを送る場合に気を付けておきたいポイントをご紹介していきたいと思います。