熱狂的なファンを作る!ファンマーケティングのコツ
ファンが新たなファンを連れてくる
このような表現を耳にしたことはあるでしょうか。ファンの口コミによって売り上げが伸びる。ファンの熱量が商品やサービスをより良い方向へと導く...。近年、こうした企業と顧客のコミュニケーションサイクルに着目した「ファンマーケティング」が注目を集めています。
「ファンマーケティング」という言葉はマーケターや商品開発、技術者の間でも注目を浴びています。本コラムでは、今や企業活動に欠かすことのできないファンマーケティングについて紹介していきます。
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ファンマーケティングとは?
ファンマーケティングとは、ブランドや商品・サービスに対して好意や熱意を持っている顧客(=ファン)と密接にコミュニケーションをとることにより、「中長期的な売り上げの増大」や「ブランドやカルチャーの共創」を図るマーケティング手法、またはその概念のことを指します。
ファンは商品やサービスへの興味関心だけでなく、企業やブランドに対しての理解も深いのが特徴です。また購入意欲も長く続き、周囲への発信もデジタル・アナログ問わず積極的に行う傾向にあるという特徴があります。
ファンマーケティングに成功しているファンが多い企業は、顧客と向き合う姿勢が結果に対して非常に大きな影響を与えるため、企業姿勢の表れとも言うことができます。
ファンマーケティングが広まった3つの背景
- 情報過多時代の到来
- 人口減少の影響と市場の成熟
- SNSの普及を中心に、口コミの重要性が増したため
1.情報過多時代の到来
スマートフォンなどテクノロジーの進化により、現代の日本人は「江戸時代の1年分の情報量を、わずか1日で受け取っている」ともいわれるほど、情報が溢れています。
パン1つ購入しようとしても販売しているお店は大量にあり、種類も豊富にあります。そんな時代により良い選択をするためには、「信頼できるか否か」が非常に重要です。この「信頼」こそ、ファンマーケティングのキーワードとなっているのです。
2.人口減少の影響と市場の成熟
日本の総人口はピークを越え、減少傾向にあります。実際に2024年は2023年と比べ60万人近く減少しています。また、日用品を始め多くの業種・業態が日本中にあるように成熟した市場も多く存在しており、新規顧客獲得の難易度は高まっています。
飲食店など同業種が多く成熟した市場に参入している企業が売上を伸ばすには、シェアを奪う、海外に進出する方法に加え、顧客一人当たりの総購入額を示すLTV(ライフタイムバリューの略)を増やす方法が考えられます。
このLTVを増やすためには、顧客のファン化が重要になります。
3.SNSの普及を中心に、口コミの重要性が増したため
インターネットが普及する以前の口コミは、友人・知人などと直接会うことでしか広まりませんでした。現代では多くの人がSNSを利用するようになり、口コミを投稿できるECサイト・比較サイトなども普及しました。人々は口コミをいつでも簡単に見られる状況になり、口コミへの対策も重要性がましています。
商品を購入する前に口コミを見るという行動も一般的な状況において、良い口コミを広めてもらえるファンの存在は重要です。
ファンマーケティングのメリット
企業がファンマーケティングを実施することで、主に以下の3点の効果が期待できます。
- 商品を継続的・安定的に買ってもらえる
- ファンの視点や意見によって、商品・サービスが改善される
- 口コミやSNSの拡散により、新規顧客を獲得できる
1.商品を継続的・安定的に買ってもらえる
商品を購入してもらうためには、商品が解決する課題に直面した時、第一に想起されること。そして想起されたブランドから選ばれることが重要です。
商品のファンからブランドのファン、そして企業のファンへと階層が上がっていくにつれ、想起されることや選ばれる可能性が高まります。莫大な広告費をかけずとも一人当たりのLTV(顧客生涯価値)を上げることにも繋がり、企業にとって大きなメリットとなり得ます。
2.ファンの視点や意見によって、商品・サービスが改善される
顧客の声を商品の改善やマーケティング施策に活かす「VOC分析」と呼ばれる企業活動があります。顧客の声は、企業に寄せられる問合せやクレーム、収集したアンケート、SNS上のメッセージなどが当たります。
これはSNSの浸透など、時代的な背景もありますが、質の高い商品やサービスが世に溢れ、またニッチな商品やサービスが開発されている昨今では、顧客の声をヒントに細かいニーズに沿ったものを開発していくことが不可欠となってきています。
ファンにとって、自分が愛するブランドや商品、サービスを展開する企業のマーケティング活動に何かしらの貢献ができた、という手ごたえを実感することは、嬉しいことでもあります。ファンとのコミュニケーションを通じて「顧客にとっても企業にとってメリットとなる活動」を促進させることが、ファンマーケティングにおいても重要な観点になります。
3.口コミやSNSの拡散により、新規顧客を獲得できる
熱狂的なファンは「良い商品を身近な人におすすめしたい」という心理が働くため、主体的な情報発信を行う傾向にあります。家族や友人などのコミュニティはもちろん、SNSが発展してきたことにより「インフルエンサー」という立ち位置で情報を発信し、多くの人に影響を与えることも可能になってきています。
商品の活用術をSNSやブログにアップした内容が他の課題を抱えている人のもとへ届き、その人が新規顧客となるという流れです。口コミで安定的に新規顧客が獲得できれば、広告費を抑えることができます。
ファンを増やすための「顧客の階層」を理解しよう
顧客がファンになるまでの段階は、ピラミッドのような階層で表現することができます。
まず初回の購入に至る前は「見込み顧客」と呼ばれる状態で、この総数が最も多いです。これは何らかの接点をきっかけに商品やサービスを認知して興味を持ち、購入するかどうかの検討をしている状態と言えます。この「見込み顧客」が初回購入を経て「トライアルユーザー」となり、その後購入回数を増やしながら「リピートユーザー」、「ヘビーユーザー」、「ロイヤルカスタマー」へと変化していくのです。
ファンマーケティングにおいて重要なポイントとなるのは、初回購入に至った「トライアルユーザー」をいかに「リピートユーザー」に変化させるか、すなわち初回購入に至った顧客をいかに離脱させないかが最も重要であり、難しいポイントであると言えます。
ファンの定義と階層別の特徴
ファンの定義はさまざまですが、ここでは「ヘビーユーザー」以上の階層をファンと定義づけています。根強いファンになるほど、同一カテゴリにおける商品やサービスの乗り換えをしにくくなり、購入回数が多くなる傾向があります。新商品が出た際にもいち早く購入に至ってくれるようになります。
さらに商品やサービスに信頼を寄せ、愛着を持っているファンは、自分以外のユーザーにもその良さを広めたい、共感し合いたいという想いで、購入体験や良い点をSNSや口コミなどを活用して、積極的に共有(シェア)してもらえる可能性があります。
ピラミッドの頂上に該当する「ロイヤルカスタマー」と呼ばれる熱狂的なファンは積極的な情報発信にとどまらず、そのサービスや商品のファンを集い、コミュニティを醸成することもあります。
このようなファン・コミュニティは積極的な情報発信により新たな顧客を連れてくるだけでなく、企業のマーケティング担当、商品開発担当とともに「座談会」等を開き、より良い顧客体験に向けたフィードバックを行うことにも非常に協力的です。このような場での消費者目線での正直なフィードバックは企業により良い刺激を与え、商品やサービスがよりブラッシュアップされるという良い循環も生まれます。
1:5の法則・5:25の法則とは?
ここで、マーケティング界で有名な2つの法則についても解説します。本コラムのテーマである「ファンマーケティング」はこれら2つの法則とも関連性が高いと言うことができます。
1:5の法則1:5の法則とは、新規顧客の獲得には、既存顧客維持の5倍のコストがかかるという法則です。ビジネスの世界では広く知られています。顧客層のピラミッドの通り、新規顧客に認知してもらい、興味を持ってもらうためには膨大な費用を投資して広告を出すことや、キャンペーンを実施する必要がある場合も多くあります。
一方、既存顧客の維持によって売上を上げる方法として毎月・毎年といった定期的に売上をあげるサービスや商品を利用しつづけてもらう、追加でサービスや商品を購入してもらうなど、良い循環ができることから、新規顧客から売上を得るために必要なコストの5分の1で済むと言われているのです。
5:25の法則5:25の法則とは、顧客の維持率を5%改善すれば利益はその5倍の25%改善されるという法則です。企業は新規顧客を獲得していくことだけでなく、リピーターとなった顧客が離脱する確率を下げることや、既存の顧客の売上げを増加させることが、収益をあげるために重要な考え⽅となります。
ここで述べた2つの法則からも、企業の「ファン」を作っていくことが事業を継続させる大きなカギとなるということがお分かりいただけたかと思います。
ファンマーケティングの実践方法
ファンマーケティングを行うためには、主に3つの視点から進めます
- ファンを作る・増やす
- すでにいるファンを見つける
- ファンを育てる
ファンを作る・増やす
1つ目の視点として、「ファンを作る」から解説します。
顧客との良いコミュニケーションを増やす
人は繰り返し接することで、好感度が高まる「単純接触効果」という考え方があります。例えば学校に入学した直後のクラスメイトは他人ですが、卒業するころには大切な友人になっていたりします。良いコミュニケーションが増えるにつれ信頼が増して好感度が高まります。
店舗型の事業の場合は、1つの地域に集中して出店する「ドミナント戦略」という考え方があります。その効果の1つには、該当地域に住む人との接触回数が増えることで信頼が増し、顧客化・利用頻度の増加が期待できます。web完結型の事業を中心では、「メルマガ」の施策も有用です。毎週1回など定期的に送ることで、単純接触回数を増やすことができます。
その商品・サービスの歴史・背景やコンセプトなど裏側を伝える
商品やサービスの裏側を伝えることで、ファンを増やすことが期待できます。
スポーツ選手を例に挙げると、「最近活躍している選手」よりも、「〇〇を理由に苦労を重ね、〇〇を目指して奮闘し、最近活躍するようになった選手」など背景を知ることで、応援したい気持ちが芽生えます。
事業の場合、収益化するまでには何かしらの苦労や、大切にしているコンセプトなどがあればWebサイトやメルマガなどさまざまな場所でつたえることで、ファンの獲得につながることが期待できます。
ファンを見つける方法
ユーザー・顧客の中から、ファンを見つけ、その属性やインサイトを分析します。「ファンを知る」ことはすなわち、「客観的に商品やサービスの良さを知る」ことに繋がります。ここではオンラインでも実施できる施策のみに絞って、ファンの見つけ方を解説していきます。
1.発信する情報に対して反応がある人を抽出する(SNSやメルマガ)
分かりやすいものだと、企業が発信するSNSへの「いいね」や「リツイート」には、情報への共感心や拡散したいといった意図が含まれます。ただ情報を目にしているだけでなく、心が動いたサインを見逃さないようにしましょう。
また、メルマガはSNSと比較して「情報の発信先が絞られる」ため、より購入に繋がるアクションを促しやすいツールですが、さらに「ファンを探すツール」としての役割を持たせることもできます。
実は、メルマガが「開封されたか」を確認することにとどまらず、「文中のURLをクリックしたか」「購買行動に繋がったか」を確認することができるというのはご存知でしょうか?高頻度でメルマガをクリックするユーザーがいれば、ファンである可能性があります。メルマガ登録時に得られた属性情報や閲覧傾向などを分析すれば、ファンになり得る傾向をつかむこともできるでしょう。
さらにメルマガ配信ツールを利用すれば「メルマガに対して反応があった受け手にのみ新たな情報を送る」といったシナリオを組むことも可能です。差出人名を自由に設定したり、配信頻度を柔軟に設定することもできます。
Cuenote FCには、これらのシナリオ配信機能が充実していますので、効率的にファンマーケティングを実行することができます。
2.ファンコミュニティを企画し、参加者を募る
ファンコミュニティとは、商品やサービス、またブランドや企業に好意を寄せている人が集う場です。以前はオフラインでこのような場が設けられていることも多くありましたが、コロナが広まった2020年以降はオンラインのファンコミュニティが誕生する動きも加速してきました。
このようなコミュニティは、立ち上げや運営に一定のリソースはかかりますが、継続することで確実にファンを見つけ、増やしていくことができる手段と言えます。
「特定の商品やサービスに愛着を持っている」という共通点で、日本全国そして海外まで広くつながることができ、場所や人数を問わずファンの輪を広げられる無限の可能性を秘めています。自らが主体的にファンコミュニティに加入する人と、データにより計測を行い「ファン」と定義づけた人とでは、商品やサービスに対する熱狂度が異なることも容易に想像できるかと思います。
とある食品メーカーでは、バーチャル空間にファンコミュニティを設営し、「ファンミーティング」や「バーチャル工場見学」などファンにとって魅力的なコンテンツを揃えています。会員に加入していなくても訪問できるコンテンツもあるようです。
ファンを育てる方法
ファンは「獲得して終わり」ではありません。継続して熱狂的なファンで居続けてもらうためには、企業側の工夫と改善が不可欠です。
数あるファンマーケティングの手法の中から、取り組みの例を3つ紹介します。
1.メルマガやSNSによる定期的な情報発信
ファンを見つけるために活用できるメルマガやSNSですが、ファンを育てるフェーズにおいても非常に有効なツールです。ここで気を付けるべきは、配信する「内容」です。メルマガ受信者へのアンケート調査を行ったところ、配信してほしい情報は「パーソナライズされた」「お得感・メリットのある情報」であることが明らかになっています。
当社ではメルマガ配信に関するセミナーを定期的に開催していますが、そのような場においてもメールの性質が「エンゲージメント獲得」にシフトしているという話題がよく上がります。せっかく受信してくれるからこそ、即購買に繋がるプロモーション的な内容だけでなく、読み手にとってメリットのある情報を必ず盛り込むようにしましょう。継続的な情報発信でファンを増やしていくこともメールの果たせる大きな役割です。
また、SNSを並行して活用することで、より広い層へのアプローチが可能になります。若年層向けであればInstagramやTiktok、ビジネスマン向けであればFacebookなど、自社の商品・サービスとターゲットに応じて使い分けるのが良いでしょう。
メール配信システム「Cuenote FC」なら、ファンマーケティングに必要な、開封率などの効果検証機能やファンの階層に分けたメルマガ配信も可能です。
2.ニュースリリースの更新
商品・サービスに愛着を持ったファンは、さらに信頼できる情報を求め企業のホームページを訪問することも多くあります。特に新商品を発売するタイミングや、メディアへの露出がある際には企業ホームページのニュースリリースを更新しましょう。また、必要に応じてプレスリリースを打つことで、企業活動を広くアピールすることができます。
3.ファンミーティングや交流イベントの実施(ファンコミュニティの運営)
ファンコミュニティを立ち上げたら、熱狂的なファンを増やすために魅力的なコンテンツを追加しながら運営していきましょう。また、定期的にファン・ミーティングを開き、商品やサービスのブラッシュアップを図ったり、コミュニティ自体の運営方法を相談することも可能です。
提供する商品やサービスによって顧客層・ファン層の生活リズムは異なりますし、運営していく中で共通点を見つけることもできるかもしれません。企業側はファンコミュニティの運営によって目指すKPI(数値目標)を定めつつ、運営方法は柔軟に変化させていくことが求められるでしょう。
ファンマーケティングでの注意点
ファンマーケティングには、注意点がいくつかあります。特に気を付けたい3つの点を紹介します。
常に購買頻度が高い=ファンではない
購入頻度が高いからと言って、必ずしもファンというわけではありません。例えば、あるチームの本拠地で開催される試合に何度も観戦しに来てもらえる顧客がいるとして、そのチームのファンとは限りません。相手チームのファンかもしれません。
購入頻度が高いのは、そのカテゴリ自体への利用が高く、合わせて自社の商品もたびたび購入されているだけかもしれません。また、その地域に売っている商品数が少ないなど、さまざまな理由で購買頻度が高いだけかもしれません。
施策には時間がかかる
広告を打てばファンが増えるなど、単純ではありません。顧客と真摯に向き合って関係を構築する仕組みを進めたうえで、徐々にファンの獲得・増加を見込めます。
ファンマーケティングが上手くいけば高い効果が期待できるものの、長い目を見て施策を進めていくことが大切です。
コミュニティ色が強いと新規獲得の壁となる
ファンとの接し方は気を付けなければなりません。
ファンミーティングなど、一部のファンが幅を利かせてしまうことで、新規顧客・ファンになりたての人を遠ざけてしまう可能性もあります。また〇〇の商品=〇〇なファンが使用しているブランドのような意図しないブランドイメージがつくことで新規顧客獲得を阻害してしまうかもしれません。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
本コラムでは、「ファンマーケティングとは?」という基礎の部分からファンマーケティングが広まった背景、メリットや成功のコツを紹介させていただきました。特にSNSの発展により個人が自由に情報発信をできるようになった昨今、「ファンマーケティング」は一時的なトレンドではなく、今後も形を変えながら発展していくマーケティング手法と言えるでしょう。
この機会に、できることから小さく始めてみてはいかがでしょうか。