格安SIMの普及はリアルタイムマーケティングに不向き?
日常生活で欠かせないアイテムと言って過言でないスマホですが、月額料金を高いと感じているユーザーも少なくありません。
そこで注目されているのが格安SIM。格安SIMはMVNO(仮想移動体通信事業者)が必要最小限のサービスを提供することによって低価格を実現しており、ユーザー数も年々増加傾向にあります。
それでは、格安SIMを使ったスマホユーザーが増加すると、デジタルマーケティングにどういった影響を及ぼすのでしょうか。
格安SIMの主な特徴
格安SIMの特徴をいくつか見てみましょう。
(1)低価格
まずどのぐらい低価格なのか気になるところですが、MMD研究所の調査データによるとスマホ平均月額料金が大手3キャリア7,433円に対して、格安SIM2,067円と、3.6倍の開きがあるようです。
大手3キャリアからの乗り換えのみならず、新規で格安SIMを使い始めるケースもこれから増えていくでしょう。
(2)標準で提供している月間データ通信容量が少なめ
格安SIMでは、標準的で提供している月間通信容量が大手3キャリアと比べて少なめに設定されています(大手3キャリアは7GB、格安SIMは2~3GB)。
ユーザーが把握しているレベルでのデータ通信量は、格安SIMも大手キャリアもせいぜい5GBで、7GBを超えるケースはかなり少数であるため、月間データ通信容量が少なめでも実用的と言えるでしょう。
また月間データ通信容量の少なさは、自宅のWi-Fi機器やMVNO(格安SIMを提供する通信事業者)や提携業者が提供している公衆Wi-Fiを使うことによって、リカバーすることもできます。
(3)キャリアメールがない
大手3キャリアでは、キャリアのドメインの入ったメールアドレスを付与していますが、ほとんどの格安SIMでは、キャリアメールを提供していません(「楽天モバイル」や「mineo」など、一部の事業者はメールアドレスを提供)。
(4)設定やトラブルを自分で対処する
格安SIMは安いサービス価格を実現するために、さまざまな面でコストカットを行っています。例えばサポートは、実店舗を持っていない場合がほとんどで、メールと電話のみになります。また、SIMカードの入れ替えや接続設定、機器トラブルなどすべて自分で対処しないといけません。
格安SIMユーザーが増えたら何が変わるのか?
では格安SIMが増加すると、日常でスマホを使う上でユーザーにどんな影響が起こるのでしょうか。 おそらく、ユーザーに伝えたいタイミングで、伝えたい情報をしっかりと伝えるのが困難になるかもしれません。安さとトレードオフで通信量や通信速度の制限が足かせになるからです。
デジタルコンテンツはいくつか挙げるだけでも「動画」「SNS」「アプリ」「メルマガ」などがありますが、最低限の通信環境でもユーザーの利用が差し支えないように、コンテンツの最適化が図られるでしょう。
(1)動画
動画は最も通信量や通信速度が問われるデジタルコンテンツです。 テキストを一望できるデジタルコンテンツと違って、再生しないことには内容がわからないので、最小限の通信環境にあっても、再生されなければなりません。
解決法の一例として、すでにFacebookやInstagram内の動画では取り入れられていますが、音声なしでGIFアニメーションのように表示するプレビューモードがあります。
Youtube等の動画サイトでも、今後、こういった方法が使われるかもしれません。
(2)SNS
SNSは動画や音声、文字、ボタンによる反応など、複雑かつ多くのデータ通信を行っており、表示が乱れる可能性が高めのデジタルコンテンツなので、アプリ提供元はユーザーが快適に見られるようにアプリを最適化しています。
たとえば、ほとんどのSNSは最新の記事から過去に遡って表示していく仕様ですが、サマリー表示や過去データをスクロール後に読み込むなどの挙動をとります。すでに取り入れられている挙動ではありますが、今後は通信量や通信速度が最小限のユーザーでも快適に見られるように、いっそう強化されるかもしれません。
なお、通知機能は、通信の混雑による速度低下や通信量の制限により、通知をリアルタイムに受け取れなくなったりする可能性があります。
(3)メルマガ
メルマガは通信量や通信速度に高いスペックを必要としませんが、日々大量に届く中で、これまで以上に情報を厳選しようというユーザー意識が働くと考えられます。今まで以上にユーザーの印象に残る、魅力的なコンテンツを作成していく必要があるでしょう。
なおメルマガ受信タイミングも、通信の混雑による速度低下や通信量の制限により、受信がリアルタイムに行われず、タイムラグを起こすかもしれません。
リアルタイム性を死守できるかどうか
「コンテンツを見たいと思った時にストレスなく見られる」というのは、ユーザーにとって絶対的に必要な条件です。「今すぐ見られない」「見るのにストレスになる」コンテンツに、ユーザーは二度と戻ってくることはありません。
格安SIMはこの「リアルタイム性」「ストレスのなさ」という点で、課題を抱えるかもしれませんし、リアルタイムマーケティングを実施している企業にとっては、大きな痛手となる可能性もあります。
その一方で、無料の公衆Wi-Fiスポットが増えれば、この課題をリカバーすることができる可能性はあります。実際、総務省が2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催を見据えて、公衆Wi-Fiの整備を進めています。
ただ、格安SIMが公衆Wi-Fiとセットで使うことが当たり前になり、高速かつ安定的な通信を見込めるまでは、コンテンツ提供者は、ユーザーが不安定で低速な通信環境下でもコンテンツの興味を引くような工夫が必要になってくるでしょう。
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