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メルマガスタンドで手軽に始めるメール運用!システム選びから活用方法

公開日:2021/02/10  更新日:2022/07/22
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メルマガスタンドの活用で、手軽に始めるメール運用


 企業からのメール配信において、メルマガスタンド(メール配信システム)の活用を検討されるケースも多いのではないでしょうか。有料・無料含め様々なメルマガスタンドがありますが、メルマガスタンドにはメール運用に必要な様々な機能やメリットが備わっています。また、メルマガスタンド毎の特徴に合わせて、自社の目指すメール運用に最適なメルマガスタンドを選ぶ必要があります。

 今回は、メール配信を始めるにあたってのメルマガスタンドの選び方やおすすめの活用方法に至るまで、その特徴も交え解説します。


メール配信システムCuenote FC




目次

 ・メルマガスタンドでできること

 ・メルマガスタンドの基本的な機能

 ・メルマガスタンド毎の特徴や注意点

 ・メルマガスタンドを選ぶ時のポイント

 ・まとめ



メルマガスタンドでできること


 メルマガスタンドとは、メルマガの一斉配信に対応したメール配信システムを指します。販促やナーチャリングはもちろん、サービスによっては認知や集客に利用でき、新規ユーザーをターゲットとできるメルマガスタンドもあります。

 一斉配信が行えるものが基本ですが、グループ分けやセグメント配信、配信後の効果測定に対応したメルマガスタンド等、ビジネスユースで人気のメルマガスタンドにはこれら便利な機能を備えたものもあります。料金体系も様々で、完全無料のものから一定の通数まで無料になるもの、従量課金、月額固定制等メルマガスタンドごとに異なります。まずは、自社でどのようなメールを送りたいのか、対象数、頻度も鑑みながら、自社にあった機能と価格体系で選ぶ必要があります。


メルマガスタンドの基本的な機能


 全てのメルマガスタンドに備わっているとは限りませんが、一般的に備えられていることの多いメルマガスタンドの主要な機能についてご紹介します。


 一斉配信


 文字通り、複数の宛先に一斉にメールを配信する機能です。

 メルマガスタンドの導入を検討されるきっかけとして多いのが「これまではデスクトップアプリ(個人用のメール送受信ソフト)でBcc等を使って送っていたが、到達率や送信速度の面で支障が大きいため、メルマガスタンドの導入を検討したい」というケースです。

 デスクトップアプリは個人用途を前提としている為、同時に多数のメールを配信する用途には適しているとは言えません。イメージとしては、片側一車線の道路を同時に複数の車が通ろうとして、捌き切れなくなっている状態を想像していただければと思います。そもそもの設計が同時多数の送信を想定していないので、想定と異なるボリュームの通信があるとその通信を規制する必要がある上「意図的にメールサーバーに負荷をかける送信者」として、メールサーバー側でブロックを受け配信が滞る可能性もあります。

 その点、メルマガスタンドは一斉配信を前提としてシステムが構築されているので、まとまった件数のメールを同時に送ってもスムーズな配信処理が可能で、到達率・送信速度の面でも大きな改善効果が見込めます。


宛名差し込み


宛名差し込み


 ビジネスメール等、個人間のやり取りにおいては冒頭に「●●様」と宛名が入っていることが一般的です。メルマガスタンドの機能として、こうした「個々に異なる文面」を自動で差し込める機能を有しているものもあり、その人宛てに送っている文体とすることで見てもらいやすくでき、開封率・リアクションに繋げられる可能性を高められるメリットがあります。

 メルマガスタンドの中には、名前以外にも任意の情報をアドレスと紐づけ、冒頭に限らず本文中の好きな場所に差し込んで作成することのできるものもあります。文末に「●●様のご来店を心よりお待ちしております」といった結びの一文を入れる方法もよし、商品購入や申し込んだセミナー等それぞれに異なる情報を入れる必要がある場合に使うのもよし、会員管理を伴う形でメルマガスタンドを運用される場合には使い勝手の良い機能と言えます。

 但し、文面ごとに宛名を差し込む場合、配信時の処理負荷が増大するといった懸念があります。同じ文面を指定した宛先に送るのと違い、最終的にメール文面としてそれぞれの差し込み項目を反映させる処理がメルマガスタンド側で必要となるため、メルマガスタンドにおける配信そのものの性能に加えてデータ処理の性能が高くないと、この部分の処理がボトルネックとなり配信が滞る可能性があります。そのため、全てのメルマガスタンドに備わっている機能で無いこと、また実際に差し込み処理を行う場合に遅延無く配信することが出来るかといった点については、データ処理の方法や工夫に関する訴求も含めて確認しておくと良いでしょう。


グループ分け・セグメント別配信


セグメント配信


 読者管理を行えるタイプのメルマガスタンドの場合、読者をあらかじめ設定したグループに分けて管理出来たり、配信時に特定のセグメントに属する読者を絞り込んで配信したりすることのできる機能が備わっているものもあります。

 サービスや商品、ブランド群ごとに異なるグループでの管理や、年代や都道府県などの情報によって配信ごとに対象を組み合わせて(例:「20代」の「東京都在住者」にのみ送りたい)送るといった運用が可能になり、より読者の望む情報に沿った配信が行いやすくなります。

 メルマガの購読解除が起こる理由として、「自分の欲しい情報が来なかった」ということが多く挙げられます。単一の商材やブランドのメルマガならその懸念は少ないですが、複数商材を展開していたり会員数が多く様々なニーズが読者側にある場合だと、一斉配信では総花的な内容になったり自分の欲しいテーマの情報が無かったりというケースが起こり得るため、適切なグループ分けやセグメントの抽出を通じてそれを回避することが読者数の維持・増大に繋がります。

 但し、システムによっては対応していなかったり、作れるグループ数やセグメント数に制限があったりする場合もあるため、こうした運用を想定する際には事前に機能の有無について確認する必要があります。


HTMLメール対応


HTML


 最近のメルマガ、特にBtoCメルマガの多くは画像や写真などを使用したHTML形式で送られるものが殆どです。国内上位のEC事業者を対象にした調査では、実に8割を超えるメールがHTML形式で配信されているという結果もあります。

 HTMLメールは視覚訴求力に優れ、反応を高められる期待がある一方で、コーディングなどの知識が無いと作成が難しく、また閲覧環境が多様化していることから異なる横幅(パソコン/スマートフォン)への対応など考慮すべき点が多く存在します。

 配信システムの中には、このHTMLメールを簡単に作成できるエディター機能などを搭載したものもあり、初めてメルマガ運用に携わる初心者の方などでも特別な知識不要で優れたデザインのメルマガを送ることが可能です。BtoC、中でも有形商材を扱っておりビジュアル訴求が高い効果を生む業種においては必須とも言える機能でしょう。


ステップメール


 ステップメールは、特定の日付を基準にして一定間隔で送信されるメールを指し、主にフォローアップなどの目的で顧客ナーチャリング施策の一環として利用されます。メルマガスタンドの中にはこのステップメールを自動で配信できるものもあり、「入会日」や「申込日」、「購入日」といった日付情報を基に指定した間隔に達した顧客に対して予め設定した文面を自動で配信することで、負担をかけずに顧客フォローが可能になります。

 特に、Webサービス等で無料プランから有料プランへの切り替えを促す、消耗品の購入が定期的に必要な商材(ベビー用品や健康・美容系アイテム)におけるリマインド等、アップセルやLTVの向上という観点からも有効な施策であると言えます。最近では、アプリケーションやシステムの使用権・ライセンスを期間単位で購入する形式のものも増え、こうした商材における更新案内などにも利用されています。

 なお、ステップメールは「起点日を基準に指定した内容のメールを送る」ものですが、これにメールへの開封やURLクリック等、受信側のアクションに応じた送り分けの機能を持たせたシナリオ配信が可能なシステムもあります。自社の商材の特徴に合わせ、活用を検討するのが良いでしょう。


効果測定


効果測定


 メール運用を含む施策においては、自社側で測れるコンバージョンのみならず、メルマガそのものの成果も検証して改善につなげられることが理想です。アクセス解析ツールなどを活用して開封やクリックといった受信側のアクションを測定することも出来ますが、これらの指標をメルマガスタンド側で直接把握できるものもあります。

 配信システム側で効果測定が可視化できるメリットとして、配信されたメールごとに結果が一覧でまとまるので横軸での比較がしやすい、という点が挙げられます。例えば、直近の配信の中で抜きんでて成果の良いメルマガがあったとしたら、どの部分が良かったのかという仮説からそれ以降の配信に役立てられるヒントを見つけやすくなります。メルマガの改善の方策は、自社プロダクトや顧客層等によっても最適解が変わる上、その時々や年月の経過と共に反応を得やすいポイントも変わってくるものです。

 メルマガに限らずコンテンツマーケティング全般に通じることですが、こうした横軸比較における優劣を見出し、ABテストなどの方策を用いながら細かく改善を重ねていくことが地味ながら確実な改善施策であると言えます。効果測定機能が備わっていることはもとより、配信結果(開封率・クリック率・CV率など)をメールごとに一気見出来るような管理画面だと、視覚的な把握がしやすく的確な施策検討に繋げることができます。


読者管理


 システム側で読者情報を管理するタイプの場合、管理側で情報の追加・更新に対応しているのみでなく、読者側からフォームや空メールを通じた入退会及び登録情報の変更の受付ができるものもあります。

 特に、メルマガ運用において工数を要する点に「退会処理」や「エラーアドレスの適切な管理」が挙げられます。ユーザー側で退会が出来ない場合、管理者にメール送信などで配信解除を依頼するパターンが多いですが、こうした手間がかかることに不満を抱くケースは少なくなく、また管理者側にとっても都度アドレス削除などの手間が発生することから業務の負担になり得ます。また、登録情報の変更が読者側からできない場合も同様で、特にメールアドレスに変更があった場合、システム側の変更処理がされないままだとメールが届かなくなるばかりか、エラーアドレスとして配信リストに残ってしまい、その数が多いと最悪の場合配信をブロックされる可能性もあります(有効でない宛先を多く含む配信リストへの配信は、迷惑メール事業者とみなされるリスクがあります)。

 退会用URLや空メール送信などによって読者側からの退会を受け付ける仕組みが備わっていれば、お互いに手間なく処理が可能になり、また読者側で情報編集が可能であれば、登録情報の変更も即座に反映することができ、情報の有効性を保てる上レピュテーションリスクも軽減できます。配信解除が無いのが理想ではあるものの、100%退会されないサービスは無く、メルマガ運営にも一定数の配信解除は発生し得ます。必要な手続きの一つとして整備しておくことで、読者エンゲージの向上にも繋がります。



メール配信システムCuenote FC



メルマガスタンド毎の特徴や注意点


 無料・有料含め様々な種類のサービスが展開されており、それぞれに特徴や利用上の注意点があります。


 <集客や認知等に利用できる、読者リスト一体型のサービス>

 サービス自体が読者を有しており、配信者側となる各企業のメルマガの中から読者が好きなものを選ぶことができるタイプのものです。自社と接点のない読者向けにアプローチが出来るので、ビジネスの起点として新規顧客の創出に繋がります。業界大手のメルマガサービス事業者の場合、読者数は700万人超に上ることから、大きな訴求効果を見込むことができます。

 一方で、読者が多いということは配信者も多く、同サービスで配信されているメルマガはニュースからコラム、ビジネス関連の話題に至るまで無料購読できるものだけでも5,000誌超に上り、それだけ読者の獲得競争があるとも言えます。購読のハードルを下げつつ、サンプル等を通じていかに魅力ある、メリットを感じてもらえるメルマガに出来るかが重要で、自社だけで読者を運用している場合に比べて購読継続の判断がよりシビアになるという一面もあります。

 読者を集める部分については集客代行などの有償オプションもあるため、こうした施策を活用して新規獲得の訴求面を増やすことができます。その場合も、メルマガそのものが読みたい!と思わせるものでないと流入効果は見込みにくいため、自社で読者を集める必要が無いとはいえコンテンツに力を入れる必要性に変わりはありません。

 半面、自社リストに頼らず新規に訴求や展開を行いたい場合には、オプトイン取得済の宛先に対して安全かつ効果的に訴求を行えるため、有用な選択肢となるでしょう(自社メルマガに対するオプトインを取得していない、外部リストや問合せ用アドレス等へのメルマガ配信はレピュテーションの低下を招く可能性があります)。


 <本文内に広告やクレジット表記が入る代わりに、無料で利用できるサービス>

 無料で利用できる代わりに、メール内に広告が掲載される、あるいはサービス事業者のクレジット(コピーライト表記)を表示させるタイプの配信サービスもあります。完全無料のものに比べて機能面で優位性のあるものもありますが、通常メルマガは明示的にPR等の表記が無い限り、発行元の情報ソースでのみ構成されているのが一般的なため、脈絡の無い広告が挿入され読者側の閲覧を妨げる可能性があることについては、デメリットとなり得る点として注意が必要です。

 また、コピーライト表記を必須とする場合、そのメルマガの著作権は作った配信元ではなく、システム提供事業者に帰属することになり、二次利用や加工、複製、バックナンバーの公開などに制約が出る恐れがあります。自社でのメルマガコンテンツの取り扱いについて全体像を描いた上で、運用上支障が無いかを確かめて導入を検討するのが良いでしょう。


<通数課金型か、月額定額制か>

 メルマガ配信サービスの料金体系として、「1通●円」の通数課金型と、通数或いは会員数に応じた月額定額制2パターンが一般的です。

 通数課金型では、その月々の配信ボリュームに応じて費用が発生する為、特に運用の初期など配信ボリュームが見通しにくい場合でも無理なく・無駄なく運用することが可能で、メール施策を気軽に始められます。配信通数が増えれば増えるほど単価が安くなる料金体系を採っている事業者もあるので、配信数の見通しが立っている場合には費用の目途が立てやすいと言えるでしょう。一方で、通数が増えたときに料金が高くなることから、急な配信を行う場合や、効果が出てきたことから配信頻度を増やしたいとなった場合に、価格面で制約が出る可能性があります。

 一方、月額定額制の場合は、一定の通数以内の配信を定額とするパターンと、予め登録できる宛先数(送信先アドレス数)に上限を設け、その閾ごとに料金を決定するパターンとがあります。いずれも、利用しない場合でも一定の料金がかかるのが一般的で、前者の場合は完全従量に比べて費用面の見通しは立てやすいものの、配信数の増加による費用増大のリスクは同様にあります。後者の場合はアドレス数を基準とするため配信通数は無制限で、同じアドレスへの配信は何度行っても費用が変わらないメリットがあります。月に1回の配信でも、毎日配信でも費用は同じなので、一定の頻度での配信が見込まれる場合にはコスト節減に繋がること、加えて、急な配信増にも対応できることから、メール運用をより柔軟に行って頂けます。


<読者リストは都度登録か、システム側での管理可能か>

 配信対象とする読者リストの取り扱いについて、CSVファイルの流し込みなどにより都度登録を行うのか、システム側に保存させ呼び出すことが出来るかの違いもシステムによって様々です。

 メール配信システムとは別に外部システム等に顧客データベースを保管する運用を行っていたり、セキュリティ上顧客情報の取り扱いポリシーで定められていたりする場合に、都度CSVファイルをアップロードし読者リストを登録させる運用を採っているケースも多いかと思われます。但し、都度登録を行うタイプのシステムの場合、過去の配信に関する実績(送信の可否、効果測定データなど)が引き継がれないため、こうした実績データは自社で管理する必要があります。

 読者情報を管理できるシステムの場合、予め登録しておいた配信リストを呼び出すだけで連携が可能で、送信対象から除外すべき読者のリストや過去の反応履歴等も紐づいている為適切なアプローチや、効果検証を基にした改善施策なども行いやすくなります。システムによっては読者をいくつかのグループなどに分けて管理することや、アドレス毎の属性との組み合わせによる絞り込みが可能なものもあります。自社での読者データの扱いに関するルールと併せて、運用を検討する必要があります。


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メルマガスタンドを選ぶときのポイント


 ここまでは、機能面やサービス毎の特徴、また料金体系についてご紹介しました。とはいえ、Webで検索するだけでも非常に多くのサービスがヒットする中で、どのような比較軸で検討すればよいのか決めかねる、という方も多いかと思います。ここからは、実際にサービスを選ぶにあたってどのような点に留意する必要があるか、各社が比較ポイントとして挙げていない点も含めてご紹介します。

 確実に届く工夫がされているか


配信性能


 各サービスでは「高速・確実に届く」ことを謳っており、サービス毎に様々な手法で確実に送り届ける工夫を行っています。

 送信周りの技術については開示されていないパターンもありますが、大別すると

① 複数の送信元IPアドレスを準備しておき、ブロックを受けた場合は切り替える
② 大量配信によるブロックを受けないよう、スピードを制御する
③ 宛先ごとに効率良く通信できるよう、配信エンジンをコントロールする

といった手法が一般的です。

 このうち多くのシステムで見かけるのが①の方法です。メール通信の世界では、迷惑メールと誤解されるような送信(エラーアドレスを多く含むリスト等)を行った場合や、過去に真正な配信を行った履歴が無いか少ない場合などに、送信元サーバーが属するIPアドレス単位で送信を制限されることがあります。

 迷惑メールを送っているわけではないのにブロックを受けた場合、申請を行うことで制限の解除をリクエストすることが可能ですが、審査・判定には一定の時間を要します。この間のメール配信が遅延しないように、予めシステム側で用意している(制限を受けていない)別のIPに切り替えたうえで配信を行うことで、遅延対策としているケースが多いです。

 一見、問題無いように見えますが、この切り替えが即座に行えないと一定時間の配信遅延が発生してしまうため、システム側でいかに迅速に対応できるかが重要となります。加えて、低額で始められるクラウドサービスでは複数の送信元が同じIPアドレス配下に相乗りしているパターンが殆どのため、制限を受けると他の送信元の配信にも影響が及びます。即ち、自社のメール運用には問題無くても、提供事業者側の配信品質や同じIPアドレスを共有するほかの事業者が評価を下げるような配信を行った場合に、自社の配信が遅延するリスクがあります。

 また、IPアドレスを切り替えることはあくまで制限を受けた上での「対処」であるため、根本的に配信遅延を解決する「対策」としてはそもそも制限を受けないようにする仕組みが整っていることが理想であるとも言えます。

 そこで、②の方法により受信側を圧迫しないようにするケースもありますが、メールを受信する側のキャパシティは同一ではないため、全ての送信先に対してスピードを制御してしまうと「確実に送信できても、送信スピードを上げられない」というボトルネックが生じる懸念があります。

 こうした課題を根本から解決する試みが、③の「送信先(ISP)毎に最適な送り方をコントロール」する手法になります。

遅延・不達対策

 先ほども述べた通り、受信側(送信先)の状態は様々で、利用者数や整備できるインフラの規模などにより大きく変わってきます。メールの受信環境が多様化した今では、キャリアメールの他に家庭用プロバイダ、Webメール(フリーメール)等無数の宛先が存在し、それぞれ毎に異なる送信処理を行うことが理想的です。しかしながら、この送信にかかるルールは技術者レベルでも公表されておらず、過去の配信結果を分析し、許容されうるボリュームと通信方法をドメイン毎に判別するノウハウが必要となります。

 メール配信システムの中には、こうした解析や運用を自社で行い、ブロックを受けないようにしつつ配信速度を最大限に上げるノウハウを有し、高い配信性能を実現しているものもあります。一見すると、メール配信はシンプルで簡単と思われますが、こと一斉配信となるとこうした制約を勘案したシステム開発・設計が求められるため、これらの工夫の違いについても知っていると、導入後の遅延・不達といったリスクも低減することが出来ると言えます。


簡単に操作が出来るか


 既にメルマガを行っている企業においても、多くの場合専任の担当者を置けているパターンは少なく、他の業務と兼務していたり、複数のメンバーにより輪番形式でメルマガ配信を担当したりといったケースが多いのが実情です。メンバーごとにシステムの習熟度がまちまちであったりした際に、使い方で難儀してしまうシステムだと作業負荷が増大してしまい、本来割くべきコンテンツ作成などに時間を割けないといったリスクも起こり得ます。

 機能面はもとより、インターフェースを含めた使いやすさも重要な選定ポイントの一つと言ってよいでしょう。幸い、こうしたメルマガ配信サービスの多くは無料トライアルなどで実際の画面を試したうえで本利用の判断ができるため、メルマガ運用に携わるメンバーに見てもらい、直感的に操作出来る、使いたい機能に簡単にアクセスできるといったポイントを確認したうえで選定するのがベターです。


サポート体制が充実しているか


電話サポート

 ここも先ほどの項と一緒で、当たり前ですがサポートに手を抜いている事業者はいないため、「安心・充実」という文脈でサポート体制をアピールしていることが多いです。レスポンスの早さもそうですが、使いたいときや困ったときに即時に対応できるかといった点で言えば、電話でのサポート体制があるかどうかが1つのポイントでもあるでしょう。

 また、メールマーケティングが欧米で先行して普及した背景もあり、海外事業者が展開する配信システムも国内で普及しつつありますが、サポートがメールのみ、英語のみ、あっても時差などの関係でレスポンスに数日かかる、といったケースもあります。自社においてどの程度メール運用に習熟しているかにもよりますが、自社にとって必要なサポートレベルを満たしているかもシステム選びの重要なポイントです。


会員数の増大や、将来的なスケールアウトが可能か


 「今はまだ会員が少ないけれど、読者獲得などを行いゆくゆくは会員基盤を大きく成長させることで売上を上げたい」という希望を持たれている担当の方も多いことでしょう。配信通数や会員数が限定されている場合、その契約プランの切り替えが容易かどうか、あるいは上限の変更を直ぐに行うことが出来るか等、将来的な会員数・配信規模の増加にも柔軟に対応できるかも見ておきたいポイントです、また、システム自身に読者登録を受け付ける機能があれば、なお良いでしょう。


セキュリティ対策が万全に採られているか


セキュリティ

 クラウドサービスにおいては、事業者自身がサービスを稼働させる物理サーバーも外部に置いているケースがほとんどのため、事業者自身のセキュリティ対策はさることながらデータ管理を行っている拠点の対策状況なども確認し、安心して運用できるかを見定める必要があります。

セキュリティと言ってもその対象範囲は様々で

 ・サーバーインフラの堅牢性(国内に拠点があるか、災害・障害時対策など)
 ・サーバールームのセキュリティ(入退出管理や権限コントロール)
 ・ネットワークセキュリティ(脆弱性のないことを確認しているかなど)
 ・アプリケーションの安全対策(不正侵入対策など)
 ・システム管理上の対策(IPアクセス制限、操作権限、ログ管理など)
 ・事業者が適合している外部認証(Pマーク、ISMSなど)

とハード、ソフト両面でどのような対策が採られているかをチェックすることが可能です。各社では上記のような取り組みが項目ごとに記載されていることが多いので、どのレベルで対策を採っているかを測る上で見ておきたいポイントでもあります。


効果アップのために必要な機能やフォローアップ体制があるか


 特にメルマガ運用が初めてという場合、「どのように書けばいいのかわからない」「効果を上げるための書き方、工夫すべきポイントを知りたい」というお悩みも出てくるかと思います。こうした点を専門的に解決するメルマガのコンサルティングを行う事業者もおりますが、一定の費用が発生するため導入検討が難しいというケースもあります。

 システム側で、サポートの一環として利用方法やメールによる効果アップのノウハウ、ポイントをセミナー形式で紹介したり、資料に纏めて提供したりしている事業者もあり、メルマガ活用をサポートする体制があるかどうかについても、長期的にメルマガで成果を上げていくことを想定した時には見ておきたいポイントであると言えるでしょう。

 また、こうした改善に係る効果を直ぐに確認するため、システム側で効果測定の機能が備わっているものが理想です。開封やクリックを個人単位で追うことや、配信キャンペーン毎に結果の状況を確認・比較するなどの分析を通じ、自社の読者の反応をより高められるコンテンツや打ち出し方を見定めていくプロセスが効果アップにおいては必要不可欠です。

 他にも、コンテンツマーケティングの王道であるABテストを自動で行えるシステムや、過去の配信キャンペーンを横断して分析し、開封やクリックといった反応の有無などにより対象者を抽出してのグループ作成や、フラグを追加するといった加工が可能なものもあるため、将来的にやりたいことを含め、自社で取り組みたいレベルに応じて必要機能を見定めることが重要です。


メルマガスタンドについて~まとめ~


 今回は、メルマガスタンドの導入を検討するにあたって見ておきたいポイントやシステムごとの特徴や違いについて紹介しました。自社の届けたいメッセージを届けたい相手にしっかり届けられるメルマガは、リアルでの接点が持ちにくい今の社会にあって顧客接点の維持・向上に役立てることのできるコミュニケーションチャネルでもあります。

 機能や料金もさることながら、一番のポイントは「自社のメルマガ運用で何をゴールとするか」にかかってきます。流入を高めたいのか、コンバージョンに繋げたいのか、あるいは新規顧客の創出なのか、テーマごとに選ぶべきシステム、必要な機能は当然に変わってきます。また、運用の進展に伴い新たにやりたいことが出てきた際にも、それがシステムに機能として備わっていないとその部分が制約となり、その際に改めてリプレイスを行うことになるケースも考えられます。現状の運用に何が必要なのかはもちろん、訴求したい商材やサービスそのものの展望も掛け合わせ、メルマガ運用をどのように進め成長させるのかといった観点からもサービスを考えていくことが肝要です。

スモールスタートにも対応した機能や料金体系を有したサービスも多いので、今回ご紹介したチェック項目も参考にしていただき、メルマガ運用の第一歩として役立てて頂ければ幸いです。

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