Web行動分析をメールマーケティングに活かす、メリットと効果的な配信手法
メールに限らず、Webマーケティングの世界では「行動分析」を取り入れたリーチ手法が発達し、活用する事例も増えています。一口に「行動分析」と言っても実に様々なデータがありますが、中でもこれまでMAやWeb接客、広告効果測定などの分野で盛んだった「Webサイト上の行動履歴の分析」を、メールマーケティングに応用する動きが広がりつつあります。Web行動分析を採り入れることでメールマーケティングがどのように進化するのか、そのメリットと活用の実例を交えてご紹介します。
「Web行動分析」とは
文字通り「Web上での行動を分析する」ことを指しますが、「Web上での行動」とは、具体的には「ユーザーがどのページを閲覧し、どのような回遊経路を辿ったか」を言います。
ランディングページのように単一ページのみで構成される場合を除き、Webサイト上でユーザーは「流入」→「遷移・回遊」→「コンバージョンor離脱」の流れを踏みます。行動分析は、集計の軸を「ユーザー」で串刺しにし、ページ遷移の記録をとることで興味・関心や検討確度の見定めに役立てるものです。
Web行動分析の価値:外出自粛、Web接触増によりユーザーの態様把握に欠かせないデータとなった
購入や成約といったユーザーの検討確度を測る手法としては、接客・営業担当者の「商談時の感触」によるものから、来店頻度や資料請求の有無とユーザー自身の行動に重きが置かれるようになり、計測手法の普及を機にWeb行動を尺度に取り入れる動きが広まってきました。最近では、Webサイトに掲載した商品画像の上でマウスポインタが静止したのをトリガーに、クーポンのポップアップが出るWeb接客ツールなどもあり、リアルタイムマーケティングの一環としても活用が進むデータとなっております。
加えて、昨今の外出自粛の流れを受けて、店舗などオフラインで接点を持つことが難しくなっていること、また在宅勤務などの対応が進み、コールセンターなど間接的に「人対人」のコミュニケーションを取る業務領域も縮小を余儀なくされていることなどから、ユーザーの温度感を測るためにはWebへの接触、すなわちWeb上での行動を分析し把握に役立てるプロセスが、必要不可欠なものとなりつつあります。
Web行動分析の活用で、どのようなメールマーケが可能になるのか
ではこのWeb行動分析を、どのようにメールマーケティングに活用していくことができるのでしょうか。
興味・関心に基づいたセグメント配信
特定ページへの流入をトリガーにユーザーの興味・関心を測ることで、そのユーザー層の高い反応が見込めるメールマガジンをセグメントして配信することが可能になります。
メールは一方的に通数を増やしても、離反の元となります。かといって、それぞれ興味関心が異なるユーザーの集合体に対し、適切なセグメント分けを行っていくのは手間と労力がかかります。サイトへのアクセスや来店の有無といった「1か0か」のデータ活用から一歩踏み出し、「どのページにアクセスしたか」を基により細かな分析が行えるようになれば、精度の高いセグメント分けを手間なく行うことに近づきます。
例えば上記の例では、毎回販売開始の直後にアクセスが殺到するような人気商品のページを閲覧したユーザーに対し、次回の同種商品の販売の際のプレセールスのメールを配信するケースを挙げています。人気商品への関心が高いユーザーは情報感度も高く、事前情報に対するニーズがあると想定されるため、ユーザーへのリマインドに加えて「是非チェックしてほしい」というメッセージを送ることにもつながり、ブランドイメージの向上にも寄与することが期待できます。
特定ページの反応の有無によるシナリオ分岐
MAツールなどで備わっていることの多い、条件分岐によるシナリオメールの配信にも、Web行動分析によって得られたデータを活用することが可能です。
一例として、ECサイトのセール告知のメルマガを起点にしたシナリオ配信を挙げます。コンバージョンや、商品ページの閲覧があったか無かったかで「セールに対する関心度」を測ることができます。閲覧はあったが購入に至っていないユーザーに対しては、購入を後押しするようなメッセージやキャンペーンを送る、また閲覧に至っていないユーザーに対しては、セールの特別感を強調する訴求でサイトへの誘因を図る、加えて、購入に至ったユーザーには次回のセールのインセンティブを案内するなど、メールからのクリックのさらにその先にあたるデータを活用することによってユーザーの行動レベルに応じた訴求がより行いやすくなります。
こうした分析は、アクセス解析ソフト等が以前から得意としている領域でもあります。一方で、そうした専門ツールの分析結果をマーケティングに活かすためには、データの出し入れや整形、タグ付け等、自分たちの使っているマーケティングツールやチャネルに合わせて手を加える必要がありました。
最近ではMAツールに加え、メール配信のシステムでもこのような分析が可能になっているものが登場し始めています。マーケティングシステムにこうした分析の機能が備わることで、分析から施策実行(メール配信の実施)までが一気通貫で行えるようになり、運用担当者の工数削減と、効果改善に向けた施策のスピードアップが期待できます。
おわりに
今回は、Web上でのユーザー行動分析の重要性と、メールマーケティングへの活用についてご紹介しました。リアルな接点を持つことが限られる時代となり、クッキー規制など潜在層へのリーチ手法も変革が迫られる一方で、Web上でのタッチポイントをどのようにマーケティングやコミュニケーションに活かしていくかがますます問われるようになっています。ユーザーの購買心理を読み解き、的確な訴求に活かしていくための試みは、今後も進化を続けていくことでしょう。
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