なぜ、今でもオンプレミス(ライセンス)なのか?
国内では、1990年代の終わりにソフトウェアやシステムを所有せずに、インターネットを通じてサービスとして利用するASP・SaaSが登場しました。
近年のクラウドサービスを支える回線速度の高速化や通信コスト低下など、ITインフラの成熟が後押しとなり、「手軽さ」と「低コスト」を特長とするASP・SaaSの市場は、急成長を遂げています。
この高い成長率の背景には、低コストと短期導入の他にも、根強くあったクラウドに対するデータ管理やセキュリティに対する不安が払しょくされ、中大手企業のクラウド導入が進んだことがあげられるでしょう。
従来のソフトウェアやシステム製品といえば、企業のシステム担当者が保有・管理パソコンやサーバーにインストールして利用することが一般的でした。
ASP・SaaSのメリットは、「知らずに利用していませんか?ASP・SaaS(クラウドサービス)のメリット・デメリット」でも紹介しているように、導入や運用の手間やコストを抑えて、高機能なサービスを素早く利用できることです。
しかし、今でも、極めて機密性の高い情報を扱うようなサービスや情報マネジメントの観点から、高いセキュリティ確保が求められるような企業などでは、依然としてライセンスによるシステム導入が好まれるケースも多くあります。
そこで、今回はオンプレミス(ライセンス)の概要とメリットについて、おさらいの意味でまとめました。
▼ライセンス契約の種類
ソフトウェアのライセンスとは、ベンダーから許諾を得てソフトウェアを使用する権利のことをいいます。ライセンスの種類は、さまざまですが、大きくは以下の2つになります。
- ・最初にライセンスを購入して永続的に使用する
- ・月間または年間のライセンス料を支払って使用する
大きな違いは、永続的にソフトウェアやプログラムを使用できるライセンスか、または、ライセンスの使用期間が限定的で、継続して利用する場合は更新が必要になるかどうかということです。
一口にライセンスといっても、ライセンスを提供するベンダーによっては、顧客のニーズに応じて各種メニューを用意しています。購入量に応じてムディスカウントされる「ボリュームライセンス」や、機能を限定した「廉価版ライセンス」、教育機関や公共機関向けなど、特定の分野向けの特化したライセンスなど、さまざまです。
さらにこのライセンスをインストール、利用できる範囲もライセンスの形態により、さまざまです。数年前までは、ライセンスをインストールできる単位は、サーバー1台に対するものが一般的でした。
しかし、仮想化技術が発達し、仮想環境下でのシステム構築が一般的となってきた現在では、仮想環境下のゲストOS単位にライセンスが必要なライセンス形態や、CPUの数に応じて発生するライセンス形態(CPUライセンス)もあります。
ライセンスには、サポートや運用管理のための費用は含まれないことがあります。ソフトウェア・プログラムの品質維持や機能拡張のために発生するバージョンアップの費用は、別途発生することがあります。
トラブルを避けるためにも、ライセンスを購入する場合は、事前にライセンス契約の内容を確認してどこまでライセンスでカバーされているか、あらかじめライセンス利用者が理解しておきましょう。
▼ライセンスを利用する前に知っておきたい知識
ソフトウェア(プログラム・システム)は、お店で購入するバッグや洋服と異なり、手で質感や重さを確かめたり実際に試着したりすることはできません。
このよう物資的な実態がないプログラムやシステムを、企業が保有する場合は無形資産の扱いとなります。
著作権・特許権・商標権も無形資産になりますが、プログラム・システムには、これらを含む知的財産権により法的に保護されていますので、勝手にコピーしてプログラムを改変することはできません。
ライセンス契約とは、他人の知識・技術といった知的財産を所有者から承諾を得て、契約の範囲で使用することになります。ライセンスを「購入する」といっても、正確には契約によって所有者の知的財産を限定的に使用できる権利を持つということになるわけです。
▼ソフトウェアは無形資産としての保有
先程もご説明した通り、資産には有形と無形のものがありますが、知的財産であるソフトウェア・プログラムは無形資産です。
ソフトウェア・プログラムのライセンスを購入した場合、会計上は無形固定資産区分の「ソフトウェア」に分類されます。企業の財務基準によって、一定の金額以上のライセンスものは減価償却資産として計上されますが、ソフトウェアの用途に応じて減価償却の期間は異なります。
▼オンプレミスの方が他システムとの連携しやすいケースもある
ウェブアクセス解析やレコメンドエンジン、また近年注目をあびているマーケティングプラットフォームとメール配信システムを連携する事例が多くみられます。
利用するASP・SaaSがAPIによるシステム連携やカスタマイズが可能な場合は、システム間の連携が可能です。
大量なトランザクションが発生するレコメンドエンジンやウェブアクセス解析ツールなど、複数のシステムと連携し、高負荷が考えられるウェブサイトを運用する場合には、高負荷に耐えられるサーバーやネットワーク構成を用意して、システム間のつなぎ込みを行います。
このように、特に処理するデータの規模が大きく、ビジネスの要件に合わせてシステム間の組み込みが複雑になる場合には、パフォーマンスの維持とカスタマイズの柔軟性からオンプレミス(ライセンス)型でシステムを導入するメリットがあります。
▼個人情報等を外部へ委託せず、自社で管理できる
大容量・高速性・多様性といったソフトウェア・システムのパフォーマンス以外にも、オンプレミス(ライセンス)が選ばれる理由にセキュリティの確保があります。
個人情報や金融情報など、重要な情報を取り扱うインターネットサービスを運用する企業では、厳しい情報マネジメント管理の基準を設けています。このため、機密情報を外部に委託することなく、自社で管理できるオンプレミス(ライセンス)型を採用するケースもあります。
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