ステップメールは効果測定とPDCAが成功のカギ? | メルマガ配信のコツ
ステップメールは効果測定に基づくPDCAを回さなければ、大きな改善は見込みづらい
メール配信をするうえで、通常のメルマガ配信とは別に ステップメール(フォローアップメール)の機能をうまく活用できれば、配信の自動化が可能です。
自動化することで担当の負担を減らすことができるため、配信先に効率的なアプローチができます。
また、人的作業が減るので対象者への案内漏れや案内先を間違えるといった、手動によるミスも減ります。さらに一連のフォローやアクションを「ステップメール」というひとつのシステムに一元化することで、アクションごとの閲覧数や離脱率などが可視化され、効果測定が行いやすくなります。他にも各アクションの効果測定や内容の更新を定期的に行うことで、より効果的なステップメールを行えます。
しかし、ステップメールで着実に成果を上げるためには、配信結果のデータを逐一収集、分析する必要があります。また、データを元にコンテンツの改善や配信のタイミングを変更したりしてPDCAを回していくことが重要です。
そのため、改善策を打ち出すために必要な効果測定の元となる配信結果のデータをきちんと抽出する必要があります。
また、ステップメールは設計に工数がかかるため、顧客の心理状況に合わせたアプローチが必要になり、シナリオの内容もそれに合わせて書いていく必要があります。
データの視認性を高め、KPIを押さえれば、効果測定はし易くなる
PDCAサイクルをただ回すだけであれば、決して難しいことではなく手順に沿ってやれば比較的誰でもできます。
しかし、正確なサイクルを回すということであれば、改善策を打ち出すための元となる、データが必要です。
データ分析をする際、ただ数値を出すだけではなく、その数値をグラフや表にして可視化し、視覚的に見易く整理することで、データへの理解度がアップします。
次に、KPI(重要業績評価指標)となる項目をどこに設定するのかを決めます。
KPIを意識しながら効果測定をすると、目標に向かうプロセスの改善施策を打ち出し易くなるので、感覚的でなく論理的なPDCAサイクルが回せるようになります。
※もちろん、分析する担当の経験値や感の鋭さといった要素も関わりますが、今回その要素は度外視して、効果測定やPDCAの部分に焦点を当てたいと思います。
PDCAの回し方
サイクルを回す具体的な方法について触れたいと思います。 ここでは一つ、例として紹介します。
「Plan=計画」
まず、目標とKPI(重要業績評価指標)の設定を行います。 次に目標達成に向けてのステップメールのシナリオ設計、全体の計画をたてる必要があります。
・KPIの設定
KPIは、目標に向かうプロセスが正確か否かを確かめる指標になり、航海に例えれば、目的地に向かうためのコンパスのような役割を担います。
メール配信の場合、クリック数や開封数、コンバージョン数(最終的な目標。売り上げや、有料会員への引き上げなど)が挙げられます。
次に、ステップメールのシナリオや、数、配信間隔を設定していきます。
ここで注意したいのが、最初からいきなり、定めたKPIに対して最適な設定を行うことは困難だということです。配信を繰り返していくと徐々に適切なKPIの設定も、KPIを追うために必要な具体的な施策も見えてくるようになるので、最初のうちは配信と効果測定、改善を繰り返しながら手探り状態で試していくしかありません。
・シナリオの設計
ステップメールは、シナリオの組み方が非常に重要な要素となります。配信先となる対象が誰になるのかということや、顧客の購買プロセス、行動パターンをある程度把握したうえでシナリオを書く必要があります。
まずターゲットが誰なのかをきちんと認識する必要があります。
例えば一番簡単な例として、配信先が法人か個人かでコミュニケーションの流れが変わります。
個人の場合、購買も決済も一人が行うため、法人に比べ、合理的な判断だけでなく、本人の興味関心を引き出す内容を挟む必要があります。
法人の場合は、社内稟議や複数人の担当がいるケースも多いため、案件発生まで時間を要し、合理的な判断に主軸を置くことが特徴的です。
他にも個人と法人では購入する単価が違います。法人相手ではサービスや商品単価が個人に比べ高額になるため、ステップメールのシナリオは急な売り込みではなく、段階的に顧客関係の構築を強めることに焦点をあてます。
とあるシステム会社の例として、
1.【接触】挨拶メール+お役立ちコラムの配信
2.【接触】セミナーのご案内
3.【認知】自社サービス・システムについて+事例紹介
4.【検討】システムの導入がもたらすメリット
5.【判断】経済条件、今導入すべき理由
↓
製品導入
上の例以外にも各企業の戦略や取り扱う商材、対象とする顧客層によってアプローチの仕方が変化します。
また、配信先の業種によっても特性が大きく異なるため、ある程度、配信対象のニーズや状況に合わせたメール配信ができるようにチューニングしていかなければいけません。
例えば、アパレル関係のメルマガの場合、対象の購買者は一回きりの購入で終わってしまい、どこから購入したかすら忘れてしまうケースも多いのが特徴です。こういったケースでステップメールを活用する場合、シナリオを書く上で下記のようなシナリオが考えられます。
1.商品購入のサンクスメール+購入後、〇日以内限定キャンペーン開催!人気ブランドのシャツが一枚半額割引クーポン!
2.今月期間限定、ネクタイ+ベルト+シャツのセット購入で、もう1品無料クーポン!
3.王道コーデの基本とは?このアイテムがあればヘビロテ間違いなし!
などなど
他にも、通常のメルマガ配信ではお買い得商品は季節を外さないで配信していくことが求められるなど、法人か個人か、どの業種かといった部分でもステップメールのシナリオや戦略は変化します。
ここでおすすめしたいのがセールスライティングです。
セールスライティングのノウハウは読者を購買に結びつけるポイントがたくさん詰まっているので、法人・個人問わず利用できます。また、文章を書くことに留まらず様々な営業活動でも応用可能です。
※セールスライティングとは?(ほんの一部をご紹介)
この記事では深く触れませんが、下記の(1)~(5)の段階を経て読者にアクション(購買や、製品の導入等)を起こさせ易くすることができます。
(1)メリット:読者にメリットを伝える→ (2)理由:(1)のメリットを読者が得られる根拠は何か→ (3)信頼:自社の知名度・ブランド・後ろ盾→ (4)実績:知名度の高い取引先の事例などを紹介→ (5)希少性や期限を設けて読者からオーダーを受けるポイントを設定する
「Do=実行」
目標とKPI、大まかな計画とシナリオを書くことできたら、次に配信するコンテンツを作成し、実際に配信を行ってみます。
ここで重要なのが、最初から完璧を求めすぎないことです。
綿密な計画を立てようと、計画にばかり時間を割いてしまうと、肝心の成果に結びつく行動がいつになってもとれません。そのため、ある程度仮設をたてたら、それを実行に移していくことが大切です。
また、ある程度計画を立てたら、期間を設定し、その期間は継続して施策を実施することが大事です。時と場合によりますが、立てた計画が少しうまくいかないからといって、すぐに計画を変えてしまうようでは、配信結果から安定したデータは得られません。
「Check=分析・効果測定・評価」
・データはグラフや表にして視認性を高める
冒頭でも少し触れた内容ですが、ステップメールの効果測定はとても重要な要素になります。人的リソースの問題で、ここに時間を割けない、もしくは感覚値でやってしまう方は多いと思います。しかし、きちんと効果測定をすることで、目標に対して具体的にどこが原因で、どのような結果をもたらしたのかということを正確に把握できます。
ここでのポイントは、配信結果から抽出したデータを表やグラフにすることです。
数値がグラフや表になることで視認性の向上、データを理解する速度もアップし、効果測定と改善の精度を上げることができます。
・HTMLメールがおすすめ
配信結果のデータを抽出するうえで注意したいのが、テキストメールの場合は、開封率の解析ができないということです。
もちろん、クリックやコンバージョンの効果測定は行えます。
現在メルマガ配信で主流となってきているHTMLメールは、効果測定として開封率が取得できます。
・効果測定からわかること
効果測定からは様々な改善施策を検証することができます。
開封率からは配信メールの件名の良し悪しがわかり、クリックカウントからはメールの中身の改善点、配置する画像の選定などが判断できます。
例えば、開封率の分析から、メールをチェックしてもらいやすい日時や曜日、男女ごとの違いなどを読み取ることができます。他にも件名に入れ込む要素で、有用性や、緊急性(期間限定など)、メリットが端的に伝わる文面などを盛り込むことで、読者の開封率がアップしたという結果が得られた事例もあります。
・ABテスト
一定程度のサンプル数毎にクリエイティブやテキストの変更などを検討してみることでよい反響の出るメールのヒントが見えてくるかもしれません
例えば、挨拶の文面を入れた場合と外した場合でABテストを行ったところ、ありの方が無い場合に比べ反応がよくなったという事例や、差出人名の変更を企業名から、個人名に変えたことでメールの開封率がアップしたというような事例があります。
また、件名に広告色をなるべく出さず、かつ【】はつかわず「、」でひとくくりの文章にしたほうが開封率がよいという結果がでたという事例もありました。
ABテストを定期的に実施することで、ステップメールの効果をアップさせるヒントが発見できるかもしれません。
「Action=改善」
配信結果のデータを元に、KPIの見直し、ステップメールのシナリオを改善していきます。PDCAは一度や二度回しただけではだめで、何度も繰り返し回すことが重要で、徐々にデータやノウハウが蓄積されていき、ターゲットに合わせた最適な配信ができるようになります。
配信結果の抽出と事例
Webサイトの効果測定の場合、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールなどを活用して分析することが多いと思います。
メール配信システムの場合、解析機能が配信機能とセットでついているものが多いのが特徴です。
前述で、データはただの数値ではなくグラフや表にして視認性を高めることが大事と述べましたが、システム側で自動的にグラフ化してくれるような機能がある配信システムを選ぶと便利です。データの視覚性を高めることで、効果測定もし易くなります。
より細かい効果測定をする場合、KPIとなる数値以外にもポイントとなる項目がいくつかあります。例えば、デバイス毎の解析結果や、時間ごとの推移をみることで、件名の良し悪しや、配信する時間、曜日などの最適なタイミングが見えてきます。
HTMLメールのクリックカウントからは、配信したメールに対して読者がどの程度興味をもったかがわかるので、メール内に入れ込む商品や、リンクテキスト、リンクのタイトル変更など、ABテストの機能と併用しながら施策を考えることもできます。
まとめ
ステップメールはメルマガ配信をする上で、非常に役立つ機能になりますが、その反面、配信結果のデータを効果測定し、論理的な判断に基づいてPDCAを回さなければ真価を発揮しづらいといえます。
抽出したデータがそもそも正しくなかったり、そもそも必要な要素の抽出自体ができなかったりすると、いくらサイクルを回しても論理的な判断はできません。
正しいサイクルを回すためには、分析元となる正確なデータの抽出と、データの視認性を高めること、KPIを意識した効果測定を行うことが必要です。
強力なシナリオができれば、あとはシステムが自動的にステップメールを配信してくれます。
これを機にもう一度、メルマガ配信のPDCAサイクルと効果測定の手順を見直してみるのも良いかもしれません。
下記の参考リンクからメルマガ配信をはじめ、今後ステップメールを行っていく配信担当者向けの【お役立ち資料】もご用意しておりますので、是非ご活用ください。
本資料では、以下の方を対象として、メールの運用をPLAN(計画)→DO(実行)→CHECK(評価)→ACT(改善)の4段階で分かりやすく説明しています。
- 【対象者】
- ・これからメルマガ配信、ステップメールを実施する方
- ・現在実施しているメール運用を見直したい方
キューノート エフシー
メール配信システムCuenote FC(キューノートFC)は、会員管理やメール配信後の効果測定をグラフィカルに表示。システム連携用APIなども提供しており、一斉配信からメールマーケティングまで行えます。独自開発のMTA(配信エンジン)とノウハウで、月間のメール配信数42億通・時間700万通以上(※)の高速配信を実現し、スマートフォンや携帯にもストレスなく高速・確実にメールを届けます。
※クラウド型サービス(ASP・SaaS)の実績値