アパレル、飲料、旅行業界のメルマガ|件名・テキスト vs HTML・配信日時を調べてみた
自分たちのメルマガを発行し運営するにあたり、メルマガ担当者が、決めなければならないことはたくさんあります。
1.テキスト vs HTML
まず、内容について検討し、テキストメールにするのか、HTMLメールにするのか文書形式を決めます。
・テキストだけのシンプルなメールが適しているのか
・画像を駆使したHTMLメールの方がふさわしいのか
2.メルマガを配信する時間帯
何時に配信するのかという点も思案のしどころです。届くタイミングによって、購読者がメルマガを開封してくれるかどうかが大きく変わってきます。
例えば、仕事中にメルマガが届いても、その場で見たりすることは、あまりありませんよね。
3.件名
件名を表示するスペースは限られているので、最も目立つ文頭に何を配置すべきかを決めることも、メルマガ運用の重要なポイントになります。
アパレル、旅行、飲料。3つの業界のメルマガを実際に購読し、メールの文書形式や配信のタイミング、件名について調査をしてみました。
テキスト? HTML? どちらの形式を使う?
テキストメールも大健闘のアパレル業界
ファッションのアイテムを販売するアパレル業界の場合、製品の画像を掲載したHTMLメールの割合が圧倒的に高そうに思えます。
しかし、意外なことにテキストメールもたくさん使われているのです。
メルマガの中で販売しているアイテムを実際に見せるというよりは、"販売を行なっているサイトを訪問してもらうきっかけ" としてメルマガを運用しているようです。
届ける情報を、性別によって差し替えているというのも、アパレル業界の特長です。
例えば、セールの開始を知らせるHTMLメールでは、まったく同じテンプレートを利用しつつ、男女別に2種類のメールが発行されています。
メルマガ購読を申し込む際に登録する性別の情報に基づいて、メイン画像の色味を男女別に変更し(男性用はブルー、女性用はピンクなど)、紹介するアイテムの画像も男女別に差し替えられています。
一方、日々の入荷状況を知らせるメルマガでは、多くのアパレル企業が手間を掛けずに準備できるテキストメールを利用しています。
新規入荷したアイテムの点数のみが分かるようになっていて、メール本文中のURLをクリックすると販売サイトにリンクします。
紹介するアイテム数が多いアパレル業界の場合、メールだけで販売まで完結させようとしたら、そのメールはとてつもなく長いものになってしまいます。
"シンプルなテキストメール経由で販売サイトに誘導する" という戦略は、アパレル業界において理に適っているようです。
HTMLメールを駆使する旅行業界と飲料業界
一方、企画旅行の最新情報やお得なメルマガ会員向け限定価格などを知らせる旅行業界のメルマガにおいては、HTMLメールが優勢のようです。
テキストメールは、"号外" や、"締め切り間近のお知らせ" など、補足的な役割で利用されています。
旅行代理店のラックにずらりと並んでいる大量のパンフレットや新聞広告からも分かるように、この業界は、シーズンごとの膨大な販促物を作り慣れている業界です。HTMLメールの導入についても、体制が整いやすいのかもしれません。
飲料の業界も、HTMLメールの割合が高いようです。
旅行業界のメルマガが、パンフレットなどの販促物と連動しているのに対し、こちらは、テレビのコマーシャルや雑誌などの純広告と連動しています。
その飲料のブランド認知をさらに高めるために、テレビ広告などで目にしたことのあるビジュアルを利用して、デザイン性に優れたHTMLメールを配信しています。
言うまでもありませんが、扱う製品やサービスを、より魅力的に伝える画像を組み込んだHTMLメールを定期的に発行することは大変な手間が掛かります。
パンフレットや広告など、メールマーケティング以外の媒体で、常に新しい画像素材が供給され続ける体制でないと、HTMLメールを継続させることは難しいかもしれません。
配信する日時や時間帯に、業種ごとの違いがあるか?
飲料業界は正午が中心
配信する日時は、まず、そのメールの内容によります。
例えば、ある飲料メーカーが運用している「朝刊メール」は、購読希望者がメルマガ登録を行う際に、朝の時間帯において好きな配信時間が選べるようになっています。
飲料メーカーが発行するメルマガは、提供する飲料(アルコール飲料含む)の販売が目的ではなく、プレゼント企画キャンペーンがメインです。
「1,500名にXXをプレゼント!」
「XXX 1 ケースが当たる」
などの情報を、正午を中心に、11~14時台に送るパターンが多いようです。
調査したメールの中では、夕方近い時間に配信されるメールはごくわずかでした。
ブランドコンセプトにより配信時間が異なるアパレル
一方、飲料業界とは逆に、アパレル業界においては、配信時間は夕方が多いようです。購入サイトに誘導する内容なので、プライベートタイムにゆっくり選んでもらうため、仕事終わりの時間帯(18時台)にメルマガを見てもらうことを狙っているのでしょうか。
また、平日と週末で配信時間を使い分けているメルマガもあります。月曜日~金曜日に送るメルマガは、18時に配信し、土曜日もしくは日曜日には朝の9時に配信しています。
いずれにしても、アパレル業界の場合は、購読者が仕事から離れ、オフモードになっている時間帯を狙うのが基本戦略のようです。
ところが、いくつかのカジュアル系企業では、他のアパレルメーカーのメルマガとは異なるアプローチをしています。
この企業が提供するブランドのメルマガは、両方とも、朝の8時台に届きます。
朝の8時台に送信されるメールの代表格と言えば、スーパーマーケットなど日常の生活必需品を扱う店舗からのメルマガです。この時間帯にメールを送るという戦略は、アパレル業界の中ではたいへん斬新です。
ベーシックなリアルクローズを売りにしているブランドなので、衣料品を "生活必需品" に近いような位置づけで捉えるなどの理由で、メールマーケティングを行なっているのかもしれません。
あえて配信時間を決めない旅行業界のマーケティング戦略
企画旅行の情報を配信している旅行業界のメルマガは、調査した業種の中では、最も時間帯にバラつきが見られました。
正午から夕方にかけて送られるメールが多く、そもそも配信時間が明確に決められていないと思われるメルマガも少なくありません。
雑誌であれば、発行する曜日は必ず決まっています。
メルマガを発行する場合も、"配信日や時間は決めておくべき" というのが基本のルールですが、逆に日時を定めない方が良い場合もあります。
例えば、『緊急発売!夏休み出発特集!』などのように、"目玉商品感" をアピールする情報です。
このようなメルマガは、いつもの決まった時間に届くよりも、届く時間にバラつきがあった方が自然です。
実際に、ある企業では、企画旅行を計画し、価格を決め、どこよりも速くその情報をメルマガ購読会員に伝えるという体制を整え、そのメリットをメルマガの売りにしています。
配信時間が一定でないことにより、さらに早い者勝ち感が高まり、"即時性" というメールの強みを生かした新鮮な情報を購読者に届けることに成功しています。
調査した中で、最も遅い時間帯に届いたのも旅行業界のメルマガでした。
21時~22時台という時間に届きます。
このような時間帯に届くメールの内容は、いつもの情報とは異なり、特別な先行情報をリークして、さらに早い者勝ち感を煽るような内容です。
「詳細は明日発表!」などのリーク情報は、購読者が少し驚くような時間に届けた方が、期待感がさらに高まるのかもしれません。
開封率の要:件名はどのように作られているか?
件名と開封率は、果たして関係があるのでしょうか?
米国のメールマーケティング企業、MailerMakerの調査「メルマガの開封率、クリック率、件名における調査結果」によると、
「長い件名は開封率が低く、件名が長くなるにつれ開封率は下がる」
という結果が発表されています。
具体的な文字数の目安については、"メールの件名が表示されるスペースにおいて、件名が最後まで表示されるかどうか" が一つの判断基準で、全角で20~30文字程度が推奨されていることが多いようです。
ツアー情報を知らせる件名は長くなる
今回、実際に購読してみたメルマガの件名を業界別に比べてみると、旅行業界の件名が、最も長い傾向が見られました。全角40~50文字程度が平均的な長さで、70文字を超える長い件名もまれではありません。
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79文字の件名(旅行業界)
\XXXXでキャンペーン実施中!/発表!【WEB限定掲載ツアー】3連休におすすめ!インターネット限定XXXXXXを今すぐチェック★【XXXXXメールマガジン】
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飲料業界では、毎日配信されるデイリー・ニュース形式の件名は30~40文字程度。キャンペーンの案内については、30~50文字程度の件名が中心で、60文字を超える件名のメルマガは、ほぼ見受けられませんでした。
アパレル業界でも、キャンペーンの案内については、飲料業界と同じく30~50文字程度の件名が中心でした。今回、購読したメルマガの中で最も長い件名は89文字でした。
複数のブランド名を羅列すると、どうしても件名は長くなってしまうようです。
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89文字の件名(アパレル業界)
【運営企業名】メルマガ会員限定!XXXシークレットセール開催☆ブランド名XXXXX/XXXXX/XXXX限定セール実施中☆大好評XXXXXXXXXXXXXXXセール☆ほか
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どの業界もデイリーメルマガの件名は短い
業界を問わず、デイリーに配信されるメルマガは、件名が短めです。
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13文字の件名(アパレル業界)
XXXXX入荷のお知らせ
32文字の件名(飲料業界)
[XXメール] 総計10万名様に当たる☆XXXXXXXXX!?
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送る頻度が高いメルマガに関しては、キャッチコピーを工夫して、魅力的な "惹き" を重視するというよりも、"簡潔に内容を知らせる" ということに重きを置いているようです。
"短いほど開封率が高くなる" という分析結果があるにしても、マーケッターは、まず、"内容を魅力的に訴求する" という点を重要視しているようです。
「特長」と「内容抜粋」は各種符号と組み合わせ、より印象的に
件名を構成する要素は、
「メルマガ名」
「特長」
「内容抜粋」
「媒体名」
「号数」
などです。
メルマガ名や媒体名などは、ブランドの認知を高めるために、
【 】 (墨付きカッコ)
≪ ≫ (二重山形カッコ)
などの括り符号が用いられ、どこから来たメルマガであるのか購読者に分かりやすいように配慮されています。
担当者の腕の見せどころになる要素は、「特長」と「内容抜粋」です。
魅力的なキャッチコピーが勢揃いし、
感嘆符 (!)
星印 (★)
音符 (♪)
などの符号と一緒に、購読者にワクワクするような期待感を届けています。
購読者の興味を喚起させる
★必見★
【号外】
【目玉商品ぞくぞく】
限定感をアピールする
ウェブ限定特別XXをご紹介♪
☆早い者勝ち!!
売れてます!
プレゼントを提供する
ぜったいもらえるキャンペーン!
その場で当たりがわかる☆
好きなXXをプレゼント!
金額メリットをアピールする
XX,XXX円から行ける!
★緊急再値下げ★
≪50%割引きセール開催!≫
メルマガの件名は配置の順番が勝負になる
いずれにしても、限られたスペースですべてを語りつくすことはできません。
取捨選択を行うにあたっては、文頭に最も言いたいことを持ってくることが基本のルールです。
旅行業界のメルマガで多く見られた二つのパターンをご紹介します。
購読者の興味を喚起させる + 金額メリットをアピールする
★必見★ XXX OPEN記念 X,XXX円キャッシュバックキャンペーン開催![XXXX旅行]
限定感をアピールする + 購読者の興味を喚起させる
【メルマガ限定&緊急発売!】XX入場とXX鑑賞プランがセットに【XXXXメルマガ】
メルマガの提供元を明らかにすることは、購読者に安心感を持ってもらうためのマナーの一つです。しかし、上記の二つの件名は、「メルマガ名」や「媒体名」など、"どこから来たメルマガか" という要素は件名の末尾に置いています。
このように、あえて発行元情報の優先順位を下げ、魅力的なキャッチコピーを先頭に配置させるメルマガは、業界を問わず多く見受けられました。
発行元情報に関しては、限られた件名のスペースで訴求することを諦め、受信ボックスの「差出人」のスペースに任せるという方法も、ひとつの選択肢です。
「メルマガ名」や「媒体名」などを、件名には一切入れないという思い切ったメルマガも見受けられました。
飲料業界のメルマガは盛り上げ感を重視
飲料の業界では、多くのメルマガの内容がプレゼントと関連しています。
件名の限られたスペースの中で、さまざまな切り口を工夫しプレゼント企画のワクワク感を伝えています。
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[XXXメール] 【3点セットでプレゼント!!】XXXX グッズを20名様に☆
★必ずもらえるプレゼント特典付XXX★お申し込み受付開始!【XXXXXX】
【号外】1,000名様に!★大好評!『XXXXXXXX』をプレゼント!
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多くの異なる要素を盛り込む場合は、ひとつの文章にするより、符号を上手に使って短いセンテンスを差し込んでいく方が見栄えがします。
セール期間中の鮮度を保つこと工夫を凝らすアパレル業界のメルマガ
アパレル業界のメルマガは、段階を踏んだ割引きのアピールを上手に行っていることが特徴です。
セールの案内を配信した数日後に、「再値下げ」など、さらに値段が下がったことをお知らせしたり、新しいアイテムが投入されたことをアピールしたり、セール期間中に中弛みをさせない工夫を行なっています。
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\本日より/会員様限定 XXXXXセールがいよいよスタート! /
↓
【再値下げ&アイテム追加も!】2014 XXXXXセール開催中!
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ほぼ毎日、メルマガを配信しているアパレル企業では、新鮮さを打ち出すための工夫を重ねています。
例えば、「新作!」「いますぐ活躍するアイテム!」など商品の新鮮さをアピールしたり、「本日からスタート!」など、旬の動きを伝えるワードを件名に盛り込んだり、購読者に飽きられないような工夫を行なっています。
メルマガは、仕事のやりとりで日常的に使うメールとは、全く違った役割があります。
何かに興味を持ち、自ら進んで購読を申し込んでくれた人に向け、有益な情報を届けるコミュニケーション手段なのです。
継続してメルマガを送り続け、購読者と良い関係を築いていくという役割を考えると、件名に関しては、さまざまなアプローチの手段が考えられそうです。
ビジネスのメールであれば、件名には、そのメールの内容を簡潔に示すという条件が求められます。
しかし、メルマガの場合は、内容を抜粋するというよりも、新鮮な驚きであったり、新たな価値観であったり、購読してくれた人の喜びや満足につながるキャッチコピー的な要素を重視しても良いのかもしれません。
メールは、依然、大きな売上げを生み出す手段です。
売上げだけでなく、ウェブサイトに顧客を誘導するという集客手段としての効果も見逃すことはできません。
すべてのマーケティングにおいて成功するテンプレートはありませんが、さまざまなメルマガを通じて、学べることはたくさんありそうです。
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