【徹底解説】SNS運用マニュアルの作り方

SNSは現代のマーケティングにおいて欠かせないツールですが、運用を効率化し、ブランドの魅力を最大限に伝えるためには、明確なルールや指針を設けることが重要です。SNS運用マニュアルを活用すれば、投稿内容の一貫性を保ち、炎上リスクを軽減することにもつながります。

今回は、SNS運用の成功に欠かせないマニュアルの作り方や具体的な手順について解説します。これからSNS活用を強化したい担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

SNS運用マニュアルの重要性

企業がSNSを効果的に活用するために不可欠なのが、SNS運用マニュアルです。まずは、なぜSNS運用マニュアルを作成すべきなのかについて解説します。

投稿内容や投稿頻度を統一するため

SNS運用マニュアルを作成することで、投稿頻度やタイミングのムラを防ぐことができます。適度な頻度で投稿を行うことで、継続的にユーザーとのコミュニケーションの機会をつくることが可能です。

一方で、マニュアルがない場合、誰がいつ何を投稿するかが不明確です。このような状況ではユーザーとの接点を定期的に維持できず、目標未達の要因になりかねません。

ブランドイメージの統一化を図るため

SNS運用マニュアルは、企業の一貫したブランドイメージを発信するためにも重要です。一貫性のあるテーマや世界観を持つ投稿は、ユーザーに強い印象を与え、企業の魅力が伝わりやすくなります。

逆に、投稿ごとにテーマやトーンが変わってしまうと、ユーザーは「思っていたものと違う」と感じ、興味を失ってしまうことがあります。SNSは競合も多いため、ブランドイメージに沿った投稿を通じて差別化を図り、ユーザーに興味を持ってもらうことが大切です。

炎上の予防・対策のため

SNS運用マニュアルがあれば、不用意な投稿による炎上のリスクを予防できます。また、万が一炎上した場合でも、事後対応の手順をあらかじめマニュアルに記載しておくことで、冷静かつ迅速に対処することが可能です。

事前に対策を講じておくことで、炎上が業績やブランドに与える影響を最小限に抑えられるでしょう。なお、SNSにおける炎上回避の方法については、下記の記事でも触れています。

SNSマーケティングとは？メリットや手法、成果を上げるポイントを解説

引き継ぎ業務を効率化するため

普段から使用するSNS運用マニュアルは、担当者の引き継ぎを円滑に進めるためにも有効です。常に更新して最新の状態を保っておけば、新しい担当者にマニュアルを見せるだけでスムーズに業務を引き継ぐことができます。

誰が担当しても投稿内容の質を維持できるため、特定の担当者に依存しない運用体制を構築することにもつながります。

SNS運用マニュアルに盛り込むべき項目

SNS運用マニュアルを作成する際には、企業が安全かつ効果的にSNSを活用できるよう、下記のような項目を盛り込むことが重要です。

1. 基本方針と運用の目的
   SNS運用における目的や目指すべきゴールを明確に示し、運用の基準となる方針を記載します。
   
2. 機密情報の保護ルール
   機密情報が漏洩しないよう、SNS上で共有してはいけない情報を具体的に明記します。
   
3. 他者の権利を侵害しないためのルール
   著作権や肖像権など、他者の権利を侵害しないための注意事項を含めます。
   
4. 誹謗中傷を防ぐための禁止事項
   名誉毀損や攻撃的な発言を防ぐため、具体的な例を挙げて禁止事項を定めます。
   
5. 不確かな情報の発信防止
   虚偽の情報や誤解を招く投稿を避けるため、情報の正確性を確保するルールを明文化します。
   
6. 自社ブランドの情報発信ルール
   ブランドのイメージに合致したトーンや内容を守るため、投稿時のルールを設定します。
   
7. 責任範囲の明確化
   投稿者や運用担当者の責任を明示し、問題発生時の対応を明確にします。
   

これらを明確に記載して、トラブルの防止や統一された運用を実現しましょう。

SNS運用マニュアルの作成手順

最後に、SNS運用マニュアルを作成する際の手順を紹介します。

手順1｜運用するSNS媒体を決める

まずは、企業の目的やターゲット層に合わせて、運用するSNS媒体を選定しましょう。各媒体が持つ特性やユーザー層を理解し、適切な運用計画を立てることが重要です。

また、複数の媒体を運用する場合は優先順位を決めます。リソースや体制を考慮し、最も継続しやすく、インパクトの大きい媒体を優先して始めましょう。

それぞれのSNS媒体の特徴やターゲットについては下記の記事で詳しく解説しています。

企業のSNS運用の始め方と成功させる5つのポイント

手順2｜投稿のテーマを決定する

投稿内容の一貫性を保つために、テーマやコンテンツの方向性を明確に設定します。具体的には、「誰に、何を、どのように発信するか」を決定しましょう。

ターゲット層が興味を持つテーマを事前にリサーチし、ユーザーに価値を感じてもらえる内容を検討してください。迷った際は、競合調査を行うのもおすすめです。下記のような項目をチェックすると、参考になることもあります。

• どのようなSNS媒体を使用しているか
• ターゲットは誰か
• どのようなコンテンツを扱っているか
• どのようなコンセプトか
• どれくらいの頻度で投稿しているか

なお、ターゲットの悩みやニーズを反映した情報発信を軸として、教育的な投稿やエンターテインメント要素を織り交ぜると効果的といわれています。

手順3｜トンマナや口調を決める

企業のブランドイメージに合わせたトンマナ（トーン＆マナー）を設定します。例えば、若年層向けにはカジュアルな表現、大企業の取引先向けにはフォーマルな表現など、ターゲットに応じた柔軟な調整が必要です。ユーザーとの信頼関係を築く上でも重要なポイントです。

手順4｜投稿頻度を定める

ユーザーの反応を最大化するために、適切な投稿頻度を計画します。業界や運用するSNSの特性を考慮し、リソースを無理なく活用できるスケジュールを組むことがポイントです。

複数のSNSを運用する場合は、Instagramなら週に2～3回、Xなら1日に複数回投稿するなど、媒体ごとに異なる最適な頻度を設定しましょう。

手順5｜投稿のチェックフローを作成する

投稿ミスを防ぐために、確認のフローを設けましょう。複数人によるチェック体制を構築することで、投稿の品質を維持できます。特にチェックしておくべき項目は下記の通りです。

1. テキスト
   誤字・脱字がないか、トンマナは揃っているか、正しく表示されるか（環境依存文字が使われていないか）　など
   
2. 投稿内容
   正確な情報であるか、画像と文章が一致した内容になっているか、不快もしくはわかりにくい表現になっていないか　など
   
3. そのほか
   投稿するアカウントは正しいか、投稿時間は適切か　など
   

手順6｜誤った投稿があった場合の対応を決める

誤投稿が発生した際の対応手順をあらかじめ設定しておきましょう。訂正方法や謝罪の対応を具体的に定めることで、迅速に対処し、影響を最小限に抑えることができます。 なお、投稿内容を削除した上で、正しい情報を速やかに再投稿し、公式アカウントでの謝罪文を追加する流れが一般的です。

手順7｜ユーザーへの対応方法を決める

ユーザーからの問い合わせやクレームに対する対応方針を策定します。ポジティブな反応には感謝を伝え、ネガティブなコメントには冷静で丁寧な対応を心がけることで、信頼を保つことが大切です。

また、これらはテンプレート化して迅速に返信する体制を整えると、対応の質が安定します。

手順8｜利用規約を策定する

SNSの利用ルールやポリシーを明文化し、ユーザーとのトラブルを未然に防ぎます。例えば、アカウント運用の責任者や著作権・肖像権に関する規定、投稿を避けるべき内容などを具体的に記載することで、運用トラブルを減らすことが期待できます。

また、手順7で定めた対応方法とともに企業のWebサイト上などで公開すると、より信頼度を高めることが可能です。

さいごに

SNS運用マニュアルは、企業の目標達成に不可欠な運用指針です。投稿の一貫性や頻度の調整、ブランドイメージの統一、炎上リスクの軽減など、さまざまなメリットが期待できます。本記事を参考に、自社に合った運用マニュアルを作成してみてはいかがでしょうか。

なお、SNS運用で押さえておきたいコツについては、下記の記事もご覧ください。

企業のSNS運用におけるコツ7選！よくある間違い・失敗例もあわせて紹介！