米国で最初にメールマーケティングを行ったのは誰?
「メールを配信したら、売り上げが伸ばせるかも・・・」と考え、最初に実行したのは誰でしょう?
400人にメール配信:1200万ドルを超える売り上げを達成、ただし、苦情も殺到・・・
米国を拠点にPCなどのデジタル機器を販売していたデジタル・エキップメント社のマーケティングディレクター、ゲイリー・サーク(Gary Thuerk)氏 が、1978年に 自社の製品の販売促進のために400人に向けて送ったメールが、"最初のメールマーケティング" と言われています。
約40年前のことです。当時、400人というターゲットは、かなりインパクトがあったようで、このメールを通じて、デジタル・エキップメント社は1200万ドルを超える売り上げを達成しました。
最初のメールマーケティングの効果を、ゲイリー・サーク氏は下記のように語っています。
Q:費用対効果は、どのくらいだったのですか?
400人に配信して、1200万ドルを超える金額を売り上げましたよ。
Q:開封率は、どのくらいだったのですか?
知る方法はありませんでしたが、200通くらいは読まれたのではないかと踏んでいます。
Q:クリック率は?
こちらも知る方法はありませんでしたよ。でも、40人がメールに反応しました。400人に送信した結果、40人に訴求できたという成果ですから悪くないですよね?
Q:配信解除は、どのようになっていたのですか?
配信解除はできませんでした。だから、たくさんの苦情がきましたよ。でも、私が送ったメールを転送してくれる受信者もいましたからね。
今の時代の常識に照らし合わせると、配信解除ができないというのは明らかに違法ですが、そもそも、オプトインオプトインという概念すらなかった時代のことです。
デジタル・エキップメント社の売り上げは急増したものの、その反面、このメール配信施策が大当たりしたことが世に広まり、スパムメールを生み出すきっかけにもなりました。ゲイリー・サーク氏は、ありがたくないことに、「スパムの生みの親」として、その名を馳せることになりました。
その後、メールのアカウントを持つ人が増えるにつれスパムという新手の手法が世界的に広がります。瞬く間に受信ボックスは未承諾メールでいっぱいになり、受信者をうんざりさせる事態になってしまっているのはご承知の通りです。
「スパム(Spam)」という単語が、オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリーに登録されたのは、1998年です。この年には、データ保護法(Data Protection Act)が見直され、"すべての広告メールには配信解除できる機能を設けること"、つまり、オプトアウトが義務づけられるようになりました。
インターネット大国:米国はオプトイン形式を採用せず
メールに関する法律は、望まないメールを受け取る受信者を守ることが目的です。日本では、「特定商取引法」や「特定電子メール法」という規制がありますが、各国でも同様に迷惑メール送信を規制するための法律や規制があります。
経済のグローバル化が当たり前の昨今、とくに、オンラインのビジネスでは法規制が統一されていないと面倒なことが起きそうですが、オプトインに関しては、米国のみ事情が異なります。
米国のCAN-SPAM法は、事前に許諾を得て広告メールが送信ができるオプトイン方式ではなく、受信拒否の意志で送信を止められるオプトアウト方式を採用しています。つまり、配信解除さえできるようになっていれば、受信者の事前承諾は必ずしも必要ないという考え方です(ただし、米国でも、携帯電話宛てのメールについては、オプトイン方式を採用)。国の産業振興を優先しようというアメリカらしい考え方とも言えますね。
メールマーケティングは約40年も生き延びている
マーケッターのまっとうな努力の傍ら、スパムが横行しはじめたことで、受信者にメールを届けるためには、あれこれ工夫を強いられる状況が続いています。例えば、SPFの設定、DKIM署名、S/MIME署名、TLS暗号化など、スパムメールに勘違いされないようにするためのフィルタリングのルールが、次々に生み出されています。さらに、GoogleやYahooなどのISP側は、スパムメールかどうかの判断を受信者側にも委ね、受信者自ら、迷惑メールだと思う会社にフラグを立てる機能を提供しています。
このような流れは、「メールを届けるためには、受信者とどのように関わるべきか?」という課題をマーケッター側に突きつけ、すべての人に同じメールを配信するシンプルな方法からの脱却が迫られています。
例えば、受信者の好みや傾向に合わせてメールを配信する "パーソナライズ化" は、今や、メールマーケティングに欠かせない工夫の一つになっています。
ゲイリー・サーク氏が最初のマーケティングメールを送信してから約40年。スパムの横行や、法規制、ISP側の厳しい対策など、ダイナミックな流れに揉まれながらもメール配信という施策は生き延びています。
オンラインマーケティングの業界では、SNSをはじめ、さまざまな手法が次々と登場し続けています。
次々とデジタルマーケティングの手法が登場する中で、こんなに長い間、メールが販売促進のために利用され続けているというのは、本当に驚くべきことですね。
参考:
Email Marketing Is Nearly 40 Years Old. How Can We Keep It Thriving?
Unsung innovators: Gary Thuerk, the father of spam
Gary Thuerk: People Make The Same Mistakes Over And Over Again
キューノート エフシー
メール配信システムCuenote FC(キューノートFC)は、会員管理やメール配信後の効果測定をグラフィカルに表示。システム連携用APIなども提供しており、一斉配信からメールマーケティングまで行えます。独自開発のMTA(配信エンジン)とノウハウで、月間のメール配信数42億通・時間700万通以上(※)の高速配信を実現し、スマートフォンや携帯にもストレスなく高速・確実にメールを届けます。
※クラウド型サービス(ASP・SaaS)の実績値