メールサーバー・メール配信の仕組みと選び方を徹底解説
みなさん、「メールサーバー」と聞いて、どのようなものをイメージするでしょうか。
本記事ではメールサーバーやメール配信の仕組みや役割、選び方、セキュリティ対策について紹介します。 メールサーバーは、電子メールの送受信に不可欠な存在ですが、初心者には複雑で難しく感じることもあります。そこでメールサーバーの基本概念から種類や選び方、そしてセキュリティ対策までをわかりやすく解説し、初心者でも安心してメールサーバーを選べるようになることを目指します。
またメールマーケティングに興味がある方にもご参考いただけるよう、記事の後半では、本格的なメールマーケティングを実施する際に検討すべき「メール配信システム」について触れます。メールサーバーに関する知識を身につけ、効果的なメールマーケティング戦略を立てる一助になりましたら幸いです。
メールサーバーによるメール送受信の流れの図解
まずはじめに、メール送受信の役割を持つメールサーバーが行う、メール送受信の流れを以下にわかりやすく図解します。この一連の流れにより、送信者から受信者へのメールの送受信が効率的かつ迅速に行われます。
- 送信者がメールクライアント(Outlook等のメールソフト)を使ってメールを作成し送信します。
- 送信者のメールクライアントはSMTPプロトコルを利用して送信者のメールサーバー(メール送信サーバー、SMTPサーバー)にメールを送ります。
- メール送信サーバーは、受信者のメールアドレスのドメイン名をもとに、DNSサーバーに受信者のメールサーバー(メール受信サーバー、POP/IMAPサーバー)のIPアドレスを問い合わせます。
- メール送信サーバーは、SMTPプロトコルを利用して、得られたメール受信サーバーのIPアドレス宛にメールを転送します。そしてメール受信サーバーは、メールを受け取り、保管します。
- 受信者がメールクライアントを使ってメールをチェックする際、POPまたはIMAPプロトコルを通じてメール受信サーバーからメールを取得します。
- 受信者のメールクライアントは、取得したメールを表示し、受信者が閲覧できるようにします。
メールサーバーとは何か?
メールサーバーの役割と機能
メールサーバーは、企業が電子メールを送信・受信するための基盤を提供するサーバーのことです。メールサーバーは、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)、POP(Post Office Protocol)、IMAP(Internet Message Access Protocol)などのプロトコルを利用して、電子メールの送受信を行います。メールサーバーの役割は、主に以下の通りです。
メールの送信
メールサーバーは、送信者が自分のメールを送信するために利用されます。このサーバーは、通常SMTPサーバーとして機能し、送信者からのメールを受け取り、受信者のメールサーバーへ転送する役割を果たします。送信者がメールを送信すると、SMTPサーバーはSMTPプロトコルを利用して、受信者のメールサーバーにメールを配信します。これにより、送信者から受信者へのメール配信が効率的かつ迅速に行われます。
メールの受信
受信者のメールアドレスを持つメールサーバーが、メールを受け取ります。このメールサーバーは、通常POPサーバーまたはIMAPサーバーとして機能し、受信者がメールを取得する際に使用されます。メールサーバーは、メールのヘッダー情報や本文を解析し、受信者に配信するためのルールを決定します。これにより、受信者は適切なタイミングと手段でメールを確実に受け取ることができます。
メールの保管
受信したメールは、メールサーバーによって安全に保管されます。保管期間は運営ポリシーやメールソフトの設定などによって異なります。またメールサーバーやその設定によっては指示があるまで削除しないこともあります。このように、メールサーバーはコミュニケーション記録としても重要な役割を果たす場合があります。
メール配信宛先の照会
インターネット上でドメイン名をIPアドレスに変換する役割を果たすのがDNS(Domain Name System)サーバーです。メール送信側は受信者のメールアドレスのドメイン名に基づいてDNSサーバーに対して受信者のメールサーバーのIPアドレスを問い合わせます。DNSサーバーは、問い合わせに応じて対応するIPアドレスを返します。送信者のメールサーバーは、このIPアドレスを使用して受信者のメールサーバーにメールを配信します。
PCやスマホなどのインターネット上のそれぞれの端末には、ドメインやメールボックスに関連する複数の設定が存在します。これらの設定によって、メールの送受信や保管が適切に行われます。また、メールサーバーは企業や個人が複数のメールアドレスを持つことを可能にします。
送信サーバーと受信サーバーの違い
メールサーバーには、送信サーバーと受信サーバーの2つの種類があります。送信サーバーは、ユーザーが自分のメールを送信するために使用するサーバーで、受信サーバーは、ユーザーがメールを受信するために使用するサーバーです。以下で詳しく解説します。
送信サーバー
送信サーバーは、企業内のユーザーが自分のメールを送信するために使用されます。送信サーバーでは、SMTPプロトコルが利用されており、送信者から受信者のメールサーバーへメールを配送する役割を担っています。
受信サーバー
受信サーバーは、メールの受信を担当し、POPプロトコルとIMAPプロトコルの2つの種類があります。POPプロトコルは、メールサーバーから受信したメールをユーザーのメールソフトにダウンロードして保存する仕組みです。一方、IMAPプロトコルは、メールサーバー上にメールを保存し、ユーザーが必要な時にメールを取得する仕組みです。
メールサーバーの種類と選び方
オンプレミス型とクラウド型の比較
企業がメールサーバーを選択する際、オンプレミス型とクラウド型のメリット・デメリットを検討することが重要です。各タイプの特徴や適用シーンについて説明します。
オンプレミス型メールサーバーの特徴
オンプレミス型のメールサーバーは、企業が自社でサーバーを所有し、管理することで、完全なコントロールが可能になります。企業内でメールサーバーを管理することで機密情報を保護することができ、企業固有のポリシーに合わせて自由にメールサーバーをカスタマイズすることもできます。
クラウド型メールサーバーの特徴
クラウド型のメールサーバーは、物理的にサーバーを所有する必要がなく、インターネット上にあるサーバーを利用することで、簡単に導入することができます。メールサービスプロバイダーによっては、多くの場合セキュリティやバックアップなどのサービスを提供しており、企業側での管理作業が容易になるケースも多いです。またコントロールパネルでの操作のみで容量や性能を追加することができるものもあります。
オンプレミス型とクラウド型、どちらを選択するか
メールサーバーでオンプレミス型とクラウド型のどちらが適しているかは、企業のニーズや予算、セキュリティポリシーなどによって異なります。オンプレミス型の場合は専門的な知識が必要であり、ハードウェアやソフトウェアの費用がかかりますが、完全にコントロールできるため運用ポリシーが明確で専任の技術者がいる場合に選択されやすいです。一方、クラウド型の場合は、導入や管理作業が簡単であり、柔軟性が高く、スケーラビリティに優れているため、小規模な企業や急速な成長を目指す企業に適しています。
企業のニーズに応じた選定ポイント
企業がメールサーバーを選定する際に考慮すべきポイントは、以下の通りです。
セキュリティ
企業が選ぶメールサーバーは、セキュリティの面で妥協できないものである場合があります。オンプレミス型のメールサーバーは、企業自身が管理しているため、セキュリティ対策を自社で行うことができます。一方、クラウド型のメールサーバーは、サービス提供者がセキュリティ対策を行っているため、それに沿った運用をすることになります。
コスト
オンプレミス型のメールサーバーは、自社でサーバーを設置するため、初期投資費用がかかります。またハードウェアやソフトウェアのメンテナンス、アップグレードなどのコストも必要となります。一方、クラウド型のメールサーバーは、オンプレミス型ほど初期費用がかからず、サービス提供者がメンテナンスやアップグレードを行ってくれるため、ランニングコストが低く抑えられます。
拡張性
企業が成長するにつれ、メールサーバーのニーズも変化していくことがあります。オンプレミス型のメールサーバーは、自社でサーバーを管理しているため、拡張性に制限がないと言えます。一方、クラウド型のメールサーバーは、サービス提供者が管理しているため、拡張性が限られる場合があります。そのため、将来的なニーズに合わせたサーバー選びが必要になります。
操作性
オンプレミス型のメールサーバーは、自社で管理しているため、管理者が自由にカスタマイズすることができます。一方、クラウド型のメールサーバーは、サービス提供者が提供する機能や操作性に限られる場合があります。そのため、企業のニーズに合った操作性を選ぶことが重要です。
メールサーバーのセキュリティ
メールサーバーのセキュリティには、スパム対策や認証プロトコルの導入、データ保護、プライバシー管理が必要です。これらの対策を講じることで、メールマーケティングにおいて信頼性を高め、顧客からの信頼や企業のブランドイメージを守ることができます。
スパム対策と認証プロトコル
スパムメールは、迷惑なメールや、詐欺やフィッシングなどの悪意のあるメールを指します。これらのメールは、受信者に不快感を与えたり、個人情報を盗まれたりする危険性があるため以下の対策を施していく必要があります。
スパム対策の実施
メールサーバーにはスパムメールを防止するための対策が必要です。スパムフィルターは、メールサーバーによって自動的にメールの内容を解析して、スパムメールと判定する機能です。スパムフィルターは、メールのヘッダーや本文、添付ファイルなどの情報を解析して、スパムメールの特徴を判定します。スパムメールは、巧妙に作られたものもあるため、フィルターの精度が重要です。
認証プロトコルの導入
一方、認証プロトコルは、送信ドメイン認証を行うことで、メールの信頼性を高め、スパムメールによる被害を減らすことができます。認証プロトコルは、SPF(Sender Policy Framework)、DKIM(Domain Keys Identified Mail)、DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)などがあります。これらのプロトコルを導入することで、メールの送信元が本当に信頼できるものであるかを判断することができ、スパムメールの送信元を偽装する攻撃から受信者を守ることができます。
データ保護とプライバシー管理
メールの送受信の際には、顧客情報や企業内部の情報が含まれることがあります。これらの情報は、機密性が高く、適切に保護される必要があります。そのため、データ保護やプライバシー管理は、企業にとって非常に重要な問題となります。以下のような取り組みにより、企業や顧客の情報を適切に保護することができます。
データ保護
データ保護には、情報の収集、利用、提供、管理について、適切な措置を講じることが必要です。具体的には、情報漏えいのリスクを減らすために、パスワードやアクセス制御、暗号化、バックアップの実施などのセキュリティ対策を講じる必要があります。またシステムの監視やログの取得を行うことで、不正アクセスやデータの改竄を早期に発見し、対応することができます。
プライバシー管理
プライバシー管理には、個人情報の適切な取り扱いが求められます。具体的には、個人情報の収集や利用について、適切な目的を設定し、必要最小限の情報を収集することが重要です。また個人情報の提供については、事前に同意を得ることが必要です。さらに、個人情報の管理については、安全な保管や適切な廃棄方法などが求められます。
本格的なメールマーケティングには
本格的なメールマーケティングを行う場合、メールサーバーだけではなく「メール配信システム」の導入も検討してみる価値があります。メール配信システムは、一般的なメールサーバーとは異なり、大量のメールを効率的に送信できるように設計されたシステムです。これにより、メールマーケティングにおいて配信スピードや配信率の向上が期待できます。
またメール配信システムは、メールの配信状況や開封率、クリック率などの詳細な分析データを取得できる機能を提供しています。メール配信システムを導入することで、メールサーバーだけでは実現できないメールマーケティングの効果を体感することができます。
メール配信システムについては以下の記事も是非ご参考ください。
メール配信システムとは?機能やサービス比較、目的別の選び方。おすすめポイントを解説!
【メール配信システム導入のメリット】
- メールサーバに負荷を掛けずにメールマーケティング(大量一斉配信)が行える - 業務メールや通知・お知らせメール等、重要なメール送信に影響を与えない
- メールマーケティングの効果を正確に把握できる - 開封率・クリック率・コンバージョンなどの効果測定が可能
- 専門業者のサポートを受ける事が出来る - 到達率向上や、メール遅延・未着等のトラブル解決、なりすましメール対策(SPF・DKIM・DMARCの設定支援など)
メールサーバー解説のまとめ
この記事では、初心者向けにメールサーバーの基本的な情報をご紹介しました。メールサーバーの役割や仕組み、選び方やセキュリティ対策について学ぶことで、ビジネスや個人利用において適切な選択を行い、安全かつ効率的なメールシステムを構築することができます。
また、本格的なメールマーケティングに取り組む際には、メールサーバーだけでなく、メール配信システムの利用も検討してみてください。メール配信システムは、効果的なメールマーケティング戦略を展開する上で大変有益です。この記事を通じて、メールサーバーに関する基本知識を身につけ、メールマーケティングの第一歩を踏み出しましょう。
キューノート エフシー
メール配信システムCuenote FC(キューノートエフシー)は、会員管理やメール配信後の効果測定をグラフィカルに表示。システム連携用APIなども提供しており、一斉配信からメールマーケティングまで行えます。独自開発のMTA(配信エンジン)とノウハウで、月間のメール配信数76億通・時間1,000万通以上(※)の高速配信を実現し、スマートフォンや携帯にもストレスなく高速・確実にメールを届けます。 ※クラウド型サービス(ASP・SaaS)の実績値